アートイラストコース 天野 さんの作品
今回はアートイラストコースの「天野 美恵」さんの作品を紹介させていただきます。
タイトルは『赤い靴』です。赤い靴といえば、年配の方には童謡の『赤い靴』を思い浮かべる方も多いかと思いますが、このイラストはアンデルセンの童話で、踊ることを止められない主人公の物語の一シーンです。『赤い靴』はほんとは怖い話のひとつ・・というより禁欲的、抑圧的な話かもしれませんが、天野さんのこのイラストにはもっと現代的なテーマが潜んでいるようです。話はともかく、とても惹かれるイラストですが、みなさんはどう鑑賞されますか?
上は全体画像です。赤い靴のなすがままに、いばらに絡むように踊りながらその先に進む主人公。
ふと目に留まった一輪のバラになにを思うのでしょうか・・
いばらは画面を分断して壁紙のようにあり、かつ立体感を伴い、だまし絵を見ているようでもあります・・なにかそれらが不思議な心地になります。
近寄って見ると、薔薇はちいさくあっさりと描かれています。それと比較してつぼみやいばらは冷たく細かく立体的に描かれているのがわかります。このギャップがフィルターを通して見ているような効果を与えているのでしょうか、ハッとする部分でもあります。
主人公の目は人形のように大きく開いたままで、唇は血の気を失っているようにも見えます。しかし、頬は絶え間なく踊り続けているせいかピンクに染まっています。試行錯誤のように塗り重ねられた絵の具がよい絵肌を作り出しています。表情・構図・色彩、どれも魅力的なすてきなイラストです。
アートイラストコース 天野 美恵 さん
水彩用紙にアクリル絵の具