春の学外イベント「ホルベイン工場見学」へ行ってきました!

こんにちは、絵本コース生川です。

普段に何気なく使っている絵具。
みなさん、どうやって作られているかご存知ですか?

よく使っているものでも
「どうやって作られているのか」
「絵具の違いはなにか」
「絵具の名前はどうつけられているのか」
実は知らないことがいっぱいです。

絵本コースでは、そんな絵具の事をよく知るために、
春の学外イベント「ホルベイン工場見学」へ行ってきました!
今回はイベントでの様子をお伝えしようと思います。

イベントはGW明けの時期に行われました。
昼はホルベインの工場見学へ行き、夜は難波で交流会もありました。
工場見学は講師2名、生徒さん11名
交流会は講師2名、生徒さん12名
この日は昼も夜もとても賑やかな会でした。

 

 

ホルベイン

「ホルベイン」は大阪で100年以上続く老舗の画材メーカーです。
アナログで絵を描く方なら一度は見たり使ったりしているメーカーさんではないでしょうか?水彩、アクリル、油絵具、パステル、コミック用品、筆、紙…とホルベインさんの製品のみで作画は事足りるくらい高品質な画材を幅広く扱っています。絵本コースの画材をざっくりと集めただけでも「ホルベイン製品」はこんなにもあります!(↑)

 

 

工場

今回お邪魔したのは、水彩を扱っている近鉄奈良線【瓢箪山】駅にある工場です。

工場に着いたらまずセミナー室に案内されました。
工場見学に行く前に絵具の歴史について教えてもらえます。
ここで、先ほどの疑問の解答が得られました。

Q1.絵具はどう作られているのか?

これは後ほど、実際に絵具を作っている様子もご覧頂くのですが、
簡単に説明すると、「顔料(色の粉)」と「接着剤」を混ぜることによって絵具を作ることができます。
(細かく言えばカビや乾燥防止のための助剤なども加えられていますが)
つまり、小学校で使った「デンプンのり」と「顔料」を混ぜても絵具になります。
意外と簡単ですね。

Q2.絵具の違いはなにか?

先述した通り、絵具は「顔料(色の粉)」と「接着剤」を混ぜ合わせて作られています。
絵具は接着剤が変わることで、様々な画材となります。
「油」で接着するなら「油絵具」、
「アラビアゴム」で接着するなら「水彩絵具」、
「アクリル樹脂」で接着するなら「アクリル絵具」です。
絵具の違いは、接着材の違いなんですね!

その他にも、「日本画」なら「膠」、「テンペラ」なら「卵」が使われてたりします。

Q3.絵具の名前はどうつけられているのか?

みなさんが小学校の頃使っていた絵具は「赤」なら「あか」と覚えやすい名前がついていたかと思います。ですが、画材屋さんに並んでいる絵具を見ているとカタカナばっかりで見慣れない名前が多く、しかも似たような名前が多いので「覚えにくいな」って思ったことありませんか?
実は、その名前「原料」から由来していたのです。

例えば、「ローシェンナ」
シェンナの原料は土からとられていて、産地であるイタリアのトスカーナ地方の都市シエーナ(Siena)から由来した名前となっています。
火で焼いたものは「バーント(焼いた)シェンナ」

「イエローオーカー」
これも、土から由来しています。
イエローオーカーはその名の通り、「黄色い、黄土」つまり黄色い土っていう意味ですね。

「ウルトラマリン」
ウルトラマリンは現在ほとんど無機顔料ですが、天然顔料の場合「ラピスラズリ」が原料として使用されています。「ウルトラマリン」と「ラピスラズリ」全然名前が違いますよね。でも、実は「ウルトラマリン」とは「海を越える」という意味があります。ラピスラズリはヨーロッパ付近ではアフガニスタンでしか産出せず、海路で運ばれたため「海を越えてきた青=ウルトラマリン」となったようです。

(参考…Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%B3

絵具の名前の意味がわかれば、名前も覚えやすくなりますね。

このように、セミナー室では、知れば知るほど絵具に対しての興味が深まる内容ばかりでした。

絵具の知識も入れたところで…
お待ちかねの工場見学へ!

 

 

 

まずは、顔料倉庫。
お米屋さんのように顔料が山積みになっていました。
ここは写真NGですので、写真はありません。

 

さあ、いよいよ稼働している工場内へ入りましょう。
実際に絵具を作る所を見せてもらえましたよ。

「顔料」と「アクリル樹脂(接着剤)」を混ぜ合わせているところです。

真っ白だった液体があっという間に紫になりました!

混ぜただけの段階では
顔料の粒子が粗く滑らかな描き味にはなりません。

この機械で粗い粒子をすり潰していきます。

3つのロールで粒子を潰していき、細かくなった絵具が下のバケツに落ちていきます。これを3回繰り返すと、ようやくみなさんが使っている絵具になるのです。
(↑参考動画:音声注意)

こちらも同じく粒子を細かくする機械です。
圧力をかけて細かくしていくので、上の機械よりも粒子がまばらとのこと。
大量生産に向いているようです。

ゴミ処理場、コミックインクの充填場、社員食堂をくぐり抜け
今度は透明水彩の充填場へ。

絵具を詰める前の絵具のシートです。
このようなシートにされた絵具を容器に充填していきます。

カラーパンに充填するための機械です。
この機械で細長く絞りだされ、適量にカットされケースに詰められます。

チューブタイプの絵具を充填する機械です。
チューブに充填されラベルを貼るところまで一連の作業がされています。

次は、色の検査、などをする研究室に案内してもらえました。
色の微妙な違いもここでチェックされます。
フィルムに一定量の絵具を塗って目視で判断するようです。
フィルムを見せて頂きましたが、かなり繊細な作業です。
また少量の絵具を作る機械で実際に作る様子も見せて頂きました。
「顔料」と「油絵の具のメディウム」を合わせて
油絵具を作る様子から色チェックの方法までを動画で撮ってきたのでご覧ください。
(音声注意です。)

この機械は色を数値化する機械です。
基本的には目視でチェックをされるとのことですが、
細かいチェックの場合数値のチェックもされるようです。
機械に判断したい色をかざすと

このように色が数値化されます。
こちらは私の掌を測って頂いた数値です。

こちらは絵具の硬さを測る部屋です。
絵具の硬さは、水分、温度によって変化します。
なので、この部屋では湿度気温は一定に保たれています。

最後は10年分の画材が保管されている一画です。
よく見る画材から初めて見る画材、
生産の中止になった画材が一堂に並んでいます。
画材好きには堪らないコーナーですね!
不良品が出た場合すぐ確認できるよう
10年分の画材は常に置いてあるそうです。
そんなに長い時間経ったものでも不具合に対応してくれるってわかると
消費者としても安心ですね。

これで、工場見学は終了です。
最後にホルベインの商品を3割引で購入できる特典までついていました!
普段使う画材や初めて触る画材まで、皆さん楽しそうに買い物をしていました。

 

 

 

ここで一旦解散。
自由時間を挟み交流会へ。

交流会は食べ飲み放題。
料理もお酒もノンアルドリンクも豊富で選び放題です。

当日、初めて会う人も多かったと思いますが、
近況を話し合ったり、画材や描き方などの情報を共有しあったり
やはり同じ環境の仲間ということもあり、
すぐ打ち解けていました。
LINEを交換したり、生徒さん同士で展示の企画をしたりもしていたようです。
ぜひ実現してほしいですね!

交流会のお店が日本酒の種類も豊富だったこともあり
「もっと飲みたい」と7人で日本酒を飲みに2軒目へ。
意外とお酒好きな方が多くびっくりです。

今回は、普段の教室では見えない生徒さんの表情を
たくさん見ることができ、とても楽しい会でした。

これからも、楽しんでもらえるような企画を考えていくので
楽しみにしていてくださいね。

 

 

 

 

 

 

生川 彩

生川 彩
Profile
‘13 神戸芸術工科大学デザイン部 ビジュアルデザイン学科絵本コース卒
ギャラリー葉「ずーたのおもちゃの箱」
‘14 ギャラリー葉「ずーた&M&Nのおかしの国」
‘15 ギャラリー葉「ものがたり展」
Message
楽しく自由な絵本が好きで大学で絵本を学びました。最初は不安に思うこともあると思いますが、不安が楽しみに変わるよう学んだ知識と経験を生かして、みなさんが納得のいく作品に仕上がるよう共に考えアドバイスします。「やりたいこと」を大事にして、楽しく絵本を作りましょう!
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