シルクスクリーン展覧会「フライターク展」について紹介します
版画コース私が20年以上関わってきたシルクスクリーン教室で開催している「フライターク展」についてご紹介したいと思います。
「フライターク展」はもともと毎日文化センターで行われていたシルクスクリーン教室で制作されていた生徒さんの有志が企画して始まったグループ展です。先日終了した展覧会で19回を数えます。教室は様々な理由により場所を転々と変えながら継続され、現在は私の工房の空き時間を利用して制作に励んでおられます。来年は20回展となり、今回出展できなかった人を含め皆さん気合が入っているようです。
今回の出品者の作品の一部を紹介させて頂きます。
(展覧会場で撮影したスナップ写真なので画像が悪いことをご容赦下さい。制作方法は皆さん写真製版法ですが、それぞれ製版に必要な基になるフィルムの作成は異なっています)。
■ まず初回から参加されているWさんです。
原稿となる自ら撮影した写真を版画用に再構築しています。版画にすることによって新たな風景を生んでいます。フィルムは手描きで制作されています。
■ 次に、Mさんです。
Mさんは美術家、デザイナーとして活躍されている方です。イメージに従って様々な画像をコラージュした画面を作り、何層かの色面で塞いでいきます。フィルムは写真を光学処理したものと手描きしたものをトレーシングペーパーに転写して使用しています。色面の形状の奥に徐々に覗いてみえてくる画像がより作者の意図や感性を増幅させます。
■ 続いて、Iさん。
Iさんは風景写真を忠実に再現することに重点を置いて制作しています。但し、どの部分をどの色で再現するかを自身の目で抜き出し手描きしたフィルムにしているので製作者の感性が窺えます。
■ さらに、Aさんですが・・・
Aさんは、洋画家としてご活躍です。抽象画ですが「宇宙」をテーマに色彩と画面構成に重点を置いて制作しています。フィルムは手描きです。抽象表現に止まらず、具象画や他の技法にも積極的に取り組んでいます。
■ 最後は、私、谷山です。
私の作品はすりガラスを通して見えるモチーフとそのモチーフがすりガラスに写し出された影を作品にしています。モノの存在をテーマとしています。今回のフィルムは工学的に作ったものとカッティングを利用しています。
工房に来て制作されている方は、それぞれのペースで大体1年間に5~6点というペースの方が多いようです。人によっては個展のためであったり、絵本制作であったり・・・様々ですが和気あいあいとした雰囲気の中で制作されています。何名かで制作していると、互いに刺激があるようで、よい時間が過ごせているようです。アートスクールでもより多くの人が版画に取組んで頂き、刺激しあえると楽しいと思います。
谷山 文衛
- Profile
- ‘10 佐伯俊男展に参加(DA-END/PARIS)
‘11 「日本のイメージの多様性」展(USA)
‘12 V Biennale Internazionale Mail Art2012(ITALIA)
‘13 International Mail Art Exhibition at the Akademie der Kunst.Berlin(GERMANY)
‘13 第4回 NBCシルクスクリーン国際版画ビエンナーレ展(美術家連盟画廊/東京他)
‘15 日米美術交流展(金沢湯涌創造の森/石川)
美学出版刊行『戦後関西版画史』の「関西の版画工房」を執筆
大阪芸術大学、京都造形芸術大学元非常勤講師
宝塚造形芸術大学元特別講師
刷り師として国内外有名作家の版画制作に携わる。 - Message
- ストレスの溜まる現代社会で、
ひとときの精神の解放を共有したいと思っています。 - ArtWorks