おめでたい模様「宝尽くし」について
コミックイラストコースこんにちは、コミックイラストコースの榊です。
前回の記事からほぼ一年…また寒い季節がやってきました。
今回も季節に合った和柄模様のお話をしたいなと考えておりまして、お正月も近いですし、おめでたい模様「宝尽くし」についてご紹介いたします。
「尽くし」とは同じ種類や意味がある文様を集めたもので、「宝尽くし」は縁起の良いものをたくさん集めて図案化したものです。単体でもおめでたい意味があるのですが、これらを集めることでおめでたさがより強調される文様になります。
特にこれを使わないといけないなど決まりはないのですが、代表的な模様をいくつかご紹介します。
■宝珠
なんでも思いのままに叶えられる宝。これは個人的に一番欲しい…。
少し先が尖った形が特徴で擬宝珠とも呼ばれ、お寺や橋の欄干でも見かけます。
■小槌
おとぎ話でも有名な打ち出の小槌。
一寸法師を大きくするだけでなく、打てば宝が出てくるそうです。
■隠れ蓑
こちらもおとぎ話で出てくる姿を消す道具。
危険な物から身を守る、厄除けの意味があるそうです。
■宝袋
大黒天の持っている巾着袋。
中には大切な財宝(後述の七宝だったり八宝だったり)が入っていて、富に恵まれるようにとの願いが込められています。
■分銅
金の重さを量る富の象徴。
理科の実験でも使った分銅は昔はこんな形でした。銀行の地図記号もここから来ているそうです。
■丁子
カレーなどに使うスパイスのクローブのこと。
薬としても重宝され、転じて健康祈願や魔よけの意味になりました。
■七宝
金・銀・水晶・瑠璃・瑪瑙・サンゴ・シャコの七つの宝を表しています(七つの内訳は諸説あるようです)。
円の形が円満を繋げる願いを込めて、宝尽くし以外にも様々な場面で使われています。
この他にも松竹梅や鶴亀など時代や場面によってたくさんの模様が使われています。
単体でも美しい模様がたくさん散りばめられているので見ているだけで華やかなですが、一つ一つの模様の中にそれぞれ意味が込められていることを知ると、また違った見方が出来て面白いですね。
私も今回調べていて新たな発見がありました。
特に驚いたのは丁子(クローブ)のことです。オクラにも見えるデザインも面白いですし、平安時代には日本に輸入されていたようなので、そんなに古くから使われていたのかと感心しました。
今年はそんなことを考えながらクローブ入れたチャイを作って体を温めて厳しい冬を乗り切ろうと思います!
次回もまた季節にあった模様をご紹介できればと思っていますので、お楽しみに。
コミックイラストコース講師 榊
榊 典子