マンガコース課題解説『自分の手のクロッキー』
マンガコース こんにちは、マンガコースです。当コースでは複数の課題を用意しており、ある程度の順番はありますが、受講される方のレベルや要望に合わせて組み合わせを自由に変更できるようにしています。とは言え、課題名だけ見ても「具体的にはどんなことをするのか?」「この課題の目的は何か?」ということは、分かりにくいかもしれません。体験入学をしていただいた方にはその時に簡単には説明させていただくのですが、初めての場所に来て色々な説明を一度に聞いて覚えておく事は難しいかと思います。ですので、こちらで簡単にそれぞれの課題について解説していこうと思います。
初回の今回は、ほとんどの方に一番最初にしていただく『自分の手のクロッキー』です。
まずクロッキーとは何か?ということですが、本来は短い時間内で人物や物の全体を把握し、シンプルな線で描くことを言います。ですが、初回受講でいきなり短時間で描きあげるのは難しいため、当コースでは、最初は時間をかけたり消しゴムを使っても構わないので、きちんと実物どおりのものを描くようにしてもらっています。
この課題の目的は、「見たものをそのまま描くこと」です。見て描いてもうまく描けないという方は、「見ているつもりで、実は見ていない」ことが多いようです。無意識に記憶にあるあやふやな形を描いてしまい、結果、対象物と違う絵になってしまうのです。マンガを描くときは、人物はもちろん、背景にしても、ある程度デフォルメする(少なくとも、カラーからモノクロに描き変える)必要はありますが、デフォルメするためには、本来の形を分かった上で行わないと、おかしな形になってしまいます。そこで、当コースでは身近な自分の『手』をクロッキーしてもらうことで、きちんと見て描くことができるための練習としてもらっています。
きちんと見て描くためのポイントの一つとして、手を開いた状態のようなよく知っている(と思っている)形だと無意識にデフォルメすることが多いため、あえて違う形から描くようにしてもらっています。そうすると、見たことのない形のため、一生懸命「見よう」とする意識が働くからです。
最初は少し握った形を崩したポーズです。丁寧に描いてもらっているのですが、指の大きさや太さなどが本物とかなり違います。当コースに来られる方だけかもしれませんが、女性が自分の手を描かれる場合、なぜか実際よりも指を太く描く傾向にあります。「細い指=美化している」と思われて、無意識にデフォルメしているのかもしれませんね。何点か描いていただき、どこを直せばいいのかなどを伝えて、さらに違うポーズにどんどん挑戦してもらいます。
最初よりは、少しずつ骨の入った、実物に近いシャープな形になってきていますね。
かなり実物どおり、しっかり描けてきたので、パーの形に近い状態でも描いてもらいました。見ることに慣れてきたので、よく知っている形でもデフォルメせずに描けています。
ここまで描けるようになったら、今度はマンガコースらしく、つけペンでも挑戦してもらいます。
つけペンでのクロッキーは、『慣れない画材』『修正できない』『線が細くはっきり見える分、失敗が分かりやすい』ということで、難易度がぐっと上がります。多少の失敗はそのまま残して、正しい線をそこに描き足すようにしてもらっています。
全体のバランスを意識しすぎて、指の硬さが無くなってしまいました。けれどつけペンは難しいので、このような形でも問題ありません。描いているうちにコツをつかんで描けるようになっていきます。
教室ではいったんここで手のクロッキーは終了になりますが、マンガで手を描くときも自分の手をモデルにすることは良くあるので、時間のある時にコツコツ自主練習していけると良いのではないかと思います。
次回は人物のクロッキーの課題について、お話したいと思います。
マンガコース講師