白亜地セミナー新メニュー「シルバーポイント」
美術・絵画コース休学中の生徒さんも少しずつ復帰されたものの、未だ予断を許さない状態が続いています。
あまり暗くなってばかりでもいけませんので前向きになりましょうということで、白亜地セミナーの内容を新しく増やそうと思っています。黄金背景テンペラはかなり大変な内容でしたので、比較的手軽にできる事が良いかと思いまして、シルバーポイントをやろうかと思います。 シルバーポイントとは尖らせた銀を芯にした銀筆というもので描く技法です。鉛筆が発明される以前の時代は銀筆によるデッサンが描かれていました。みなさんよくご存知の巨匠たちも銀筆によるデッサンを多く残しています。
鉛筆と紙の関係と同じように、支持体との摩擦で銀が削られることによって筆跡が残ります。したがって、描く支持体はエマルジョン地やジェッソ地など、摩擦によって銀の芯が削られるような硬い下地に描きます。非常に硬いので鉛筆のように途中で先端が丸くなったりすることがありません。ひたすら描き続けることができます。 デッサン用の画材という枠を超え、絵画として成立する優れた画材であると思います。
描いた時には灰色をしていますが、時間の経過とともに硫黄と反応して褐色に変化します。
描いてから数日経った色(左)描いた時の色(右)
銀筆として画材屋さんに売っているものではないので自分で工夫して作ります。 銀のワイヤーを適当な長さに切って先端を円錐状に削ります。
デッサン用のホルダーに挟んで完成です。
銀のワイヤーはシルバークラフト用のものを使います。銀のワイヤーの入手方法がわからなかったのでハンドメイドコースの先生に尋ねましたところ、心斎橋のシルバークラフト専門店を教えていただきました。さすがアートスクール、いろんな分野の専門家の先生がいらっしゃるのでこういう時は非常に助かります。
ハンドメイドコースの森田先生、石田先生、江川先生ありがとうございました。
2mmの太さの銀のワイヤーを1m購入しました。
セミナーでは今回作った何本かの銀筆を受講生の方にお貸しする形で進めていこうかと思っています。 シルバーポイントはモノトーンの緻密な筆致が特徴的ですが、何よりの魅力は独特の描き心地が非常によいということにあります。
特に何かを描くつもりがなくてもついつい心地さに引き寄せられて意味もなく手が動いてしまいます。
Nさんは銀筆で緻密な作品を描いておられます。
これは実際に描いていただいて描き心地を感じていただくしかありません。是非一度お試しください。
美術科 松田一聡
松田 一聡
- Profile
- ‘01 東京藝術大学大学院油画技法材料研究室修了
‘12 「重力」展(Gallery Suchi)
‘13 アートフェア東京 2013(Gallery Suchi ブース)
‘14 「重力」展(Gallery Suchi)
‘15 「重力」展(Gallery Suchi)
「写実って何だろう?」(ホキ美術館) - Message
- 絵画を学ぶにあたって、1つのことに集中することも大切ですが、
いろいろな表現に挑戦することで得られるものもあると思います。 - ArtWorks