美術科金曜アトリエ通信2月号 「日本画制作の生徒さんをご紹介」
美術・絵画コース美術科講師の谷野です。まだまだ寒い日も続きますが梅の花もちらほらと咲き始めてきたようです。 コロナもなかなか収まってくれませんね。
さて今回は美術アトリ絵科ではおなじみのNさんの日本画制作についてご本人のコメントも合わせてご紹介します。アートスクールでは数多くの種類の絵を描かれていますがどちらかといえば細密で精巧な絵を制作されるイメージを持たれる方ですが日本画の絵に関しては感覚的な画面作りを交えながら描画されています。下記に紹介した作品は昨年末に梅田の芝田町画廊で行われた小作品の公募展に出品されたものです。
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Nさんは現在4月に搬入予定の公募展に向けて50号サイズの絵を製作中(格闘中!と言った方がいいでしょうか)です。過去にアートスクールから何人か挑戦して入落がシビアなので気合いを入れて2点描いて選んで出品してみるみたいです。
最後にNさんよりコメントをいただきました。
○日本画を制作するにあたって、楽しさと苦心するところ
もともと日本画を少し手がけた事はありましたが、ここ数年は他の画材での制作をメインとしていました。再び日本画をやってみよう思ったのは、日本画の画材の持つ物質感、そして重厚であるにも関わらず油を使わない事からくる軽やかさ、それらを自分の作品に取り入れたいと思ったからです。日本画制作の楽しさは偶然から産まれる魅力を作品に活かせるところです。それは裏を返すとコントロールが難しいという事でもあり、日々、悪戦苦闘しています。偶然的要素と、描画による必然的要素をかっこよく融合させる、そんな作品作りが目指すところです。
○箔を使っての面白さ、また以外だった効果など
もともと中世ヨーロッパの宗教絵画、ウィーン分離派、日本では琳派など、箔を使った作品は大好きです。それらの古典的な要素を部分的に取り入れて自分ならではの表現作りができれば、と思っています。箔はギラギラと強いだけの素材かと思いきや、観る角度によっては暗く沈み、絵の見え方が安定しません。それを逆手に取って、角度によって全然違う表情を持つ作品が作れると面白いなあ、と思っています。また、硫黄を使って箔を硫化させるというのも興味深いですね。縁具ではとても作る事のできない複雑で鮮烈な表現ができます。が、これもコントロールが難しく思ったようにはいきません。作品への取り入れ方を模索中です。
○公募展チャレンジに向けて思うところ、また今後こんな事をしてみたい、など
公募展チャレンジは大きな作品制作に向けての一つの目標設定です。構想から画材の準備、制作の手番など、大型作品制作の一連のスキルを身に付ける事で制作の幅を拡げたいと思います。人の評価をあまり意識せず、自分がやりたい事、自分が素敵だと思う作品作りからぶれないように継続できればと思っています。今後、どんな風に制作を続けるかは緩く模索中です(笑)。とりあえず直近の目標は、誰かに感動を与える事ができる作品を制作すること。抽象的ですが。そのためには、自分自身が感動し続けないと、と思っています。良い作品が出来れば個展などを通じて発表の場を持ちたいですね。
月一くらいのペースで制作を通じた日々の所感やHow toをブログで発信していますので、是非、遊びに来てください。
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