「背景」が担う、二つの役目とは?
コミックイラストコースこんにちは!コミックイラストコース・アナログ分野担当の木元です。
少し前にSNSで
「某アニメの背景で一点透視に消失点が二つある」という記事が話題になってましたね。
(詳しく知りたい方はこちら⇒https://togetter.com/li/1360737)
専門的な話はそちらのリンクで見ていただくとして、コミックイラストコースでも「パースが苦手で・・・」という生徒さんの声を聞くので、今回は背景がなぜ必要かをざっくりお話しします。
背景には二つの役目があります。
「誰がどこで何をしているかを見せる」ことと、「雰囲気作り」です。
1つめは説明のため、2つめは作品のイメージ作りのためですね。
ここで、避けられないのが、平面で奥行を出すために、近くのものは大きく、遠くのものを小さく描く法則=遠近法の一つである透視図法(パース)の、ある点(消失点)に向かって小さくしていく一点透視・二点透視です。
苦手な方は、パースの法則で正しく描いたら思ってもいない絵に仕上がってしまうのにパースを使わないとやっぱり何だか変、という体験があるのではないでしょうか。
透視図法は建築などで正確でないといけないですが、アニメやマンガでは作者が思った雰囲気になってるかが重要になります。話題のパースは「複数点透視」「二支点透視」などと呼ばれるもので、言うなれば「正しくないパース」です。
パースの法則に自分の絵を合わせるではなく、自分の絵に法則の方を合わせるために生まれた工夫で、アニメやコミックでは昔から使われてきました。正しいパースに加えて、少しずつ点を移動させ増やして描きます。点の移動は垂直上か平行線上でということ以外、動かす点の距離や数などに決まりはありません。「なるほど、わからん。」と声が聞こえそうですが、ここで正しくないと言われてもアニメやマンガの背景は自然な風景にしか見えませんよね。「正しくないパース」は一種のトリックアートなのです。
パースは、正しいパースを覚えた段階が、算数でいう足し算・引き算が出来る段階で、正しくないパースは応用問題です。算数は足し算を何度も何度もやって、簡単に解けるようになって応用問題に進み、その応用問題も問題のパターンを見抜くと解くのが早くなっていきますよね。覚えたてのパースは誰もが思ってもいなかった仕上がりになります。たくさん描いて慣れて、どこが変でどうすればトリックを組み込めるかわかるようになるにはかなり練習が要ります。いつかちゃんとパースを描けるようになりたい!と思う方は「思ってたのと違う」という気持ち悪さを忘れないでください。気持ち悪さを何とかしたくてトリックアートを覚えていくからです。
どうしても描けない!という方は最低限のパースの知識だけを覚えていてください。
背景に大事なのは「どんな感じに描きたいか」というイメージを無くさないこと。それが2つめの役目、雰囲気作りにつながっているのです。
少しずつでも思ってた絵に近づけていけたら、ちょっとくらいパースがダメでもきっと魅力的なイラストが描けますよ。
しっかりパースを理解したい!という方は、当コースではありませんが、アートスクール受講生限定のパースセミナーというものも先日試験的に開講が行われました!次回開催時期は未定ですが、開催が決定したあかつきには、興味のある方はぜひ行ってみてくださいね!
木元 慶子
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