パースが苦手でも最低限これだけは覚えててほしい!!

こんにちは!コミックイラストーコース・アナログ担当の木元です。
私の前回のブログでパースの話をしていたこと、覚えてらっしゃるでしょうか?
(前回はこちら
その中で「パースが苦手でも最低限のことだけ覚えててほしい」と書きましたが、今回はその最低限についてのお話です。



前回も書きましたが、背景には二つの役目があります。
「誰がどこで何をしているかを見せる」ことと、「作品の雰囲気作り」です。
1つめは説明のために必要ですが、2つめはそれと同時に作品のイメージを作るためのもの。
キャラに比べて、背景はそんなに注目されるものではありません。
だからって手抜きはよくないですが、絶対パース描けなきゃダメ!なわけでもありません。
イラストでもゲームでも主役は背景でなくキャラクターで、主役をかっこよく見せるこそ最大の目的です。
メイン(キャラ)の「後ろにあるもの」は、たとえ単一色のグラデーションでも、平面的なチェック柄でも暗闇に雪が舞ってるだけでもすべて作品の雰囲気を作る重要な背景であって、パースがないこともあるのです。


透視図法(パース)は遠近法の代名詞のように思われがちですが、遠近法にはいくつも種類があります。
後ろにあるものを重ねていって距離感を出す重畳遠近法、大きいものが近く小さいものが遠くにある大小遠近法、メイン以外をピンボケにしてぼやけているものが後ろになるように見える消失遠近法、手前の色ははっきりした色で遠くのものは薄い色で表現する空気遠近法などがあり、特にカラーだと雰囲気を出す役目はこれらの方が優れていて、背景だけでなくキャラクターにも応用出来ます。



他にも物の配置を利用したり、構図をうまく使ったり、パースを使わなくていい角度の視点にしたり、パース自体がないコラージュぽい絵に仕上げたり。 キャラや状況に違和感がないか、色彩や素材の美しさなどで雰囲気の演出があるとさらにgood!思いがけず個性を生み出すこともあります。



しかし工夫すればパースをすべて無視出来るわけではありません。いくら演出で個性が際立ってもおかしな方向に手足が曲がっていたり、人間に出来ないポーズだったりでは台無しだからです。
そうなってしまった時は「このキャラをどこから見てるのか」を考えます。
見えないはずのところが見えているとあり得ないポーズや骨折してるような違和感が出ます。
覚えていてほしい最低限のパースの知識というのは「その人物をどこから見ているか、地面に立てている(座れてる)か」ということです。
簡単そうですが、これがパースの一番大事なことでもあります。


これを考えた上でパースを敢えて無視した絵が、この記事にあるすべての絵です。
たとえば最初の絵の猫は、絵の中のパースでは身長約1mです。
一般的な線路の幅は1~1.5mほどなので、線路の幅とほぼ同じな猫の身長は1mはあるということになるのです。



透視図法でのサイズ間違いは致命的なのですが、それよりも一般的な猫は30~40cmだからと1/3のサイズで描こうが逆に線路を3倍で描こうがこの構図では絵にならないこと、実は猫専用の小さな列車の走る小さな線路かもとかの物語が重要なのが絵画やイラストです。
さらに言うと、線路以外も、他の絵でも看板も鉄柱もサイズは正しくはありません。
ただ、絵の中に見えないはずのところが見えてたり、あり得ないポーズだったりはあるでしょうか?



大事なのは、正しいかではなく、正しそうで説得力があることなのです。そのために最低限のパースが欠かせないのです。
わからないから適当に描くとごまかしですが、わかって敢えて逆手に取ることは工夫につながり、表現にもなります。
苦手は何がどう苦手かを知らなければ克服どころか避けることすらできません。
敢えて苦手を知って、その上でぜひ得意な遠近法を選んで、背景の世界を広げて行ってくださいね。
注目されなくても、背景はあなたの世界を背後から作り出してることを忘れないで!


 

 

 

 

木元 慶子

木元 慶子
Profile
宝塚造形芸術大学美術学科卒業
マンガ家アシスタント、イラスト事務所勤務、
マンガ学科講師を経て現在フリーイラストレーター。
広報誌、Web広告でのマンガやイラストを制作。
Message
絵は人に見てもらって自分で気づかないところを言ってもらえると
一人で描くよりずっと上達が早く、楽しくなります。
楽しく描けた絵からは描いた人の楽しさが伝わって見てる人も楽しくなります。
無理なく自分のペースで楽しさを見つける場だと思ってもらえるとうれしいです。
ArtWorks
講師インタビュー

 

 

 

 

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