水をテーマにした文様
コミックイラストコースこんにちは、コミックイラストコースの榊です。
今回は水をテーマにした文様のお話をしたいと思います。
水にまつわる文様は、夏を表現したものが多いですが、合わせる動植物によってどの季節にも合わせられる万能文様です。
■流水文
まずは水の中で代表的な文様といえば「流水文」です。その名の通り流れる川の水を美しい曲線で表現している文様です。
着物だけでなく、和をイメージしたものなら桜と同じくらいよく見かける印象ですね。
土器や銅鐸にも使われていたというくらい古くから使われているのですが、この頃はまだ水を表現しているかどうか分からないようです。
ここから派生した「観世水」という文様は能楽の観世家が使用したものですが、今では一般的にもよく使われています。より洗練されたデフォルメになっていますね。
■青海波
こちらもよく見かける文様ですね。おめでたい吉祥文様としても使われています。
波という名前がついていますが、元々は波や水を表すものではなく、平安時代から「青海波」という名前がついて水をイメージするものになったそうです。
和のイメージが強いですが、海外でも古くから鱗文様として様々な場面で使われています。
波の途中を抜いた「破れ」や合間に波頭を立てて変化をつけたり、花や菱形と組合わせたり発展したデザインも多いです。
こちらは「菊青海波」レース模様のようで可愛いですよね。
■波文
流水文との区別がつけにくいものもありますが、海の荒々しさも感じられる文様です。
穏やかなさざ波を連想させる「小波」から波しぶきが立つような「大波」まで様々あります。
先程の青海波とも組み合わせたり、とてもおめでたい文様です。
江戸時代には波をデフォルメして蒔絵などにも使用され、特に「千鳥」との組み合わせは相性が良くとても可愛らしいです。
いかがでしたでしょうか?今回は代表的なものを3つご紹介しました。
他にも「渦」や「雨」、草についた露を表した「芝露」など色んな形態の水の文様があります。このあたりになると気象とも繋がってくるので、その辺りもまた機会があればお話したいと思います。
コミックイラストコース講師 榊
榊 典子