デジタル制作でエッセイマンガが出来るまで ~前編~

こんにちは。コミックイラストコースでアナログ作業を担当している木元です。
今回はデジタル仕上げでエッセイマンガが出来るまで、
を私の担当の回で二回に分けてご紹介します。
エッセイは自分の意見や感想を綴る文章(テーマがあるものないものもあります)のことで、
・・・つまり自分の好きなことやものについて好きなように書く、
だからマンガで描くのもアリ!というのがエッセイマンガ。
マンガは描きたいけどジャンルが決められない、
リアルでない絵が得意な人やストーリーを作るのが苦手、
といった人におススメの
短いページ数で自分の言いたいことをピンポイントに伝えられるタイプのマンガです。

今回は「リアル絵は描けないけどマンガを描いてみたい!」と
マンガに初挑戦された受講生さんのSAIを使ってのカラーマンガでメイキングを見ていきましょう。

マンガを描く、というと描いたり塗ったりの作業を想像しますが、
下準備なくコマを割ってマンガの形にしてしまうと自由過ぎるマンガになる可能性大なので、

①描きたいことを文章でまとめる→②文章を絵にしてコマ割してマンガの形にしていく

という下準備でまず話をまとめます。それが出来たら、

③下絵を描く→④清書(ペン入れ)する→⑤色を付ける

という作画作業でマンガが完成します。

 

①描きたいことを文章でまとめる(案出し・プロット)

まず「誰が・いつ・どこで・何をしたか」を出来事に沿って書き出していきます。
小説や作文のようなちゃんとした文章にしなくても、メモ書きや箇条描きでもいいのである程度まとまればOK!

ここで大事なのは「何が言いたかったか」。
漫才やコントで言うと、一番最後の一番笑える部分「オチ」のことです。
「うちの柴犬・ハナちゃんの可愛さを描きたい」と考えた受講生さん。
「でも私が親バカで可愛いと思うだけで、ほかの人には可愛く思えないのでは?」
・・・と悩まれていろいろ意見を出し合った結果、
ハナちゃんがちょっとツンデレなエピソードを描こうということで「ハナちゃんが密に好きな遊び」の話になりました。

 

②コマを割ってマンガの形にしていく(絵コンテ・ネーム)

話がまとめられたら、文章を絵に置き換えながらコマに割り当ててマンガの形にしていきます。
この作業の呼び方は色々ありますが、要は「マンガの設計図」を作っている段階です。
最初は自分だけにわかるようなメモみたいなものでイメージをまとめます。
この時にまだ思いつかないコマは描かなくてもいいので、
とにかく最後まで描く!あとで思いついた時に描き足せばいいんです!

 

次に、メモ状態のものをもう少し丁寧に描いて他人にも読めるようにして、
他人に見てもらって意見をもらいます。
自分では気が付かなかったことがいろいろ出てくるので、意見を取り入れて何度か訂正をしていきます。

1ページ目の一コマめは真正面だと何かわからないので形のわかりやすい横からの絵にしよう、ということになりました。

受講生さんは3~4ページ目の内容を2つ考えておられました。

最後のコマがたくさんの動作が入っててわかりにくいこともあって、
ハナちゃんがびっくりしてるコマを4ページ目に持っていったら「間」になって面白いかも、
ということになって2つの内容をミックスして描いてしまおう、ということになりました。
部分的な訂正なので、作画しつつ微調整ということで原稿に取り掛かろう!となりました。

この受講生さんは「描いたら投稿する!」と投稿先も決めて描いておられました。
慣れないコマ割に思いのほか時間がかかってしまい、
作画に取り掛かった時点で締切までもう一ヶ月もなくなってしまっていたのです!
後編は迫りくる締切カウントダウンの中での作画についてお伝えします。

 

~関連記事~
デジタル制作でエッセイマンガが出来るまで ~後編~

 

木元 慶子

木元 慶子
Profile
宝塚造形芸術大学美術学科卒業
マンガ家アシスタント、イラスト事務所勤務、
マンガ学科講師を経て現在フリーイラストレーター。
広報誌、Web広告でのマンガやイラストを制作。
Message
絵は人に見てもらって自分で気づかないところを言ってもらえると
一人で描くよりずっと上達が早く、楽しくなります。
楽しく描けた絵からは描いた人の楽しさが伝わって見てる人も楽しくなります。
無理なく自分のペースで楽しさを見つける場だと思ってもらえるとうれしいです。
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