テーブルソー「STS-255ET」の平行定規の改造!アイディアスケッチ・ドローイング

おひさしぶりです、イラストレーションコース のオカモトです。

前回のテーブルソーのおが粉対策に引き続き、平行定規の改造のお話となります。
テーブルソーのジグ(治具: 加工のための補助工具)には色々なものがありますが、まずこの平行定規がないとテーブルソーをまともに使えないといったような重要なモノです。
基本的には、寸法通りにまっすぐに切るためのものですが、この平行定規にさらにジグを取り付けて使う例もあります。

テーブルソーの平行定規について・・

他にテーブルソーで頻繁に使われるジグに、クロスカットスレッドというのがあり、テーブルソーとの組み合わせで細かな材の加工の他、額などを正確に作るのに非常に便利なものです。

このように工具は単独でなくいろいろな工具を組み合わせることで、様々な加工に対応することができます。そしてジグに関しては多くの人の知恵の継承でもあるわけですね。

さて、平行定規に話を戻しますと、もともとテーブルソーに付属していた平行定規なのですが、最低限のシンプルな作りなので、定規の面がテーブルに対して垂直が出ないとか、のこ刃(チップソー)に対して平行を出しづらいといった話を目にします。テーブルソー「STS-255ET」も安価なDIY用のものなので、それぞれに工夫して使いましょうということだと思います・・つまりあるだけでありがたいというものです。

上の図のように平行定規をのこ刃と平行に置いて、材を寸法通りに、もしくは複数の材を同じ幅になるように、あるいは溝掘などの加工をするのに使います。これが平行でなかったり垂直でなかったりすると、加工した材の精度に関わってくるわけですね。

テーブルソー平行定規の精度・・

テーブルソー自体がテーブルに対してのこ刃が垂直に固定できるか、テーブル前側に対してのこ刃が90度(材の進行方向)になってるかどうかを調整できているのが前提ですが、さらに平行定規の精度が上がるとよりありがたいということになります。

新品開封後のテーブルソー はノコ刃や平行定規は直角や垂直が出てないこともあるようです。また、テーブルと平行定規に1〜2mmくらいの隙間があり(下図)、材を押し付けると傾くこともあるとのことです。

実際に自分の平行定規でも2mmくらいの隙間がありました。これは平行定規をスムースにスライドさせる上で必要なものだと思いますが、固定が甘かったりするとぐらつく要因になるでしょうね。

さて、そろそろ改造の本題に入りましょう。
要は、この平行定規に手を加えてより精度と安定性を上げるということになります。

国内外ネットでよく見るのがこの平行定規に板を沿わせて、あるいは板で挟んで体積と重量とでボリュームを上げて安定させるというものです。精度も必要な大変な作業です・・場合によってはもう平行定規を新しく作った方が早いかもしれませんね。

たとえ大きく安定したものにしたとしても、のこ刃に対して常に平行に移動してくれなくては困るわけです。高価なテーブルソー にはピニオンギアなどで平行移動できる仕組みが備わってたりします。

・・平行定規の改造のアイディア・・ それで思いついたのが、下のスケッチになります。

角パイプの二重構造化!




角パイプの二重構造化はYouTubeの「kozirou channel」さんのチャンネルで拝見しました。
その構造を利用して、内側と外側の角パイプを調整できるようにすると、シンプルな仕組みで微調整の目的が果たせると思ったわけです。

内側の角パイプが固定されていても、外側の角パイプ(断面30mm×50mm)はテーブルに挟まっている状態なので比較的自由に動きます。この仕組みをもっと簡単にできる方法があるかもしれませんが、とりあえず実行してみます。



スケッチと図面にしたがって改造を施した平行定規が下の通りです。

撮影の方向や平行定規の置き方がバラバラですが、まぁ大体はわかっていただけるのではないかと思います。
要は、フランジナットがミソです。







元の平行定規の幅が2cm、外側に設置したアルミ角パイプの幅が3cm、アルミの板厚を考えると、ひとつのノブの調整で約4mm移動させることができます。
平行定規の調整は両はしの2箇所のノブで調整することになります。

平行定規の改造後の精度・・

次の写真はその移動(微調整)の様子を写したものです。



微調整の移動距離は片方で4mmくらい(赤の矢印)。
手前と奥の2箇所のノブで最大と最小にすると、テーブルの奥行き640mmに対して約8mmのズレを修正できる感じです。これだけあれば平行を出す微調整としては十分だと思います。

あと、平行定規の上にTスロット用のマイタートラックレールをネジで止めているので、下の写真のように元の平行定規に比べ、ひと回り大きくどっしりした感じになりました。



平行定規をロックした状態でも微調整できるので、ある程度の精度は期待できると思います。
ふたつのノブスターの取り付け高さが違いますが、これは平行定規の中にあるロック用のロッドが斜めになっているせいです。

材料費的には30mm×50mm×1000mmのアルミ角パイプが高くて、一本3000円前後したと思います。あとマイタートラックレールも2000円くらいです。

以上が平行定規の改造の話となります・・

ノコ刃と平行定規との距離を測定する・・

そしてあともうひとつ平行を確認するためのジグを作ったので紹介しますね。 これはよく作られている方も多いと思いますが、ノコ刃と平行定規の距離を測るためのものです。 (下の図) 



30cm定規を2本使い、テーブルの上に置いてノコ刃と平行定規の間隔を、ノコ刃の両面から測定できるようにします。
ノコ刃(チップソー)の両面から測定するのは必要な材の幅と切り捨てる材の幅を測るためです。
30cm定規はマグネットで固定しているだけです。 (下の画像)





平行定規を改造してみての感想・・

ミリ単位で正確に加工できるのは気持ちの良いものです。
しかし、熟練者はシンプルな道具だけで寸法や角度までぴったりと加工できるのでしょう。
このようなジグは自転車初心者の補助輪みたいなものかもしれませんね。

正直、これらを駆使した微調整はそれほど頻繁に使うものではありません。そこそこの幅ならテーブルの上に引いたミリペンの線を基準に定規一本で距離を測ることが多いです。
自分のDIY技術程度ではこれらのジグは気休め程度のものかもしれないですし、それより、なにげに乗せたトラックレールが一番使い勝手がよいのかもです(笑

ジグには万人向けなものと、パーソナルなもの・・その人の一番使いやすいもの、合うものがあると思います。
みなさんがそれぞれ知恵を出して、それぞれに改良されていくのかもしれませんね。

今回の話は以上となります。
検索して見ていただいた方の参考になりましたら幸いです。
イラストレーションコースでは受講生に、プロダクトデザインやそのためのスケッチやドローイング・デッサンなどもされている方がいらっしゃいます。
3Dプリンターで簡単な道具やジグも制作できます。興味のある方はお問い合わせくださいね。

ではまた機会があれば次のブログでお会いしましょう!

イラストレーションコース オカモトでした!


オカモトショーゾー

オカモトショーゾー
Profile
大阪府出身
Nordbrücke版画工房に従事しリトグラフを制作。
1982年大阪靭ギャラリーにて初個展。
造形教室を主催し、油彩や3DCG、
ペーパークラフト、フィギュアなどを制作。
大阪市都市協会ギャラリーにて優秀賞受賞。
ペパクラデザイナーコンテストにて最優秀賞受賞。
Message
変わらない大事なことも多いですが、
技術や流行は変化し流動的です。
同じく個人の世界も絶えず変化しているのでしょう。
そんな中でみなさんといっしょに表現するすべを
楽しくあるいは迷いながら発見し、
学んで行けたらと思っています。
ArtWorks
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