テーブルソー「STS-255ET」のおが粉対策!アイデアスケッチの方法
イラストレーションコースこんにちは、イラストレーションコース のオカモトです。
今回はAIの話でなくて久々にDIYのネタです。
アートスクールにはDIYをされている先生がたくさんいらっしゃって、もちろんハンドメイド教室コースもあったりして、スクールには作業台や展示台、看板など手作りのものが多かったりします。
オカモトのDIYネタは毎回、道具や治具(加工のための補助道具)の話になっていて、今回もそのネタになります。いつか、家具のデザインやリホームの話ができればなと思いますが、基本的に道具が好きです。絵を描く場合は画材だったりします。
道具は身体の延長といいますか、能力を拡張してくれるものですよね。
それで、タイトル通りテーブルソーについて・・特に改造や改良についての話なんですが、テーブルソーは文字通りテーブルから丸ノコがひょいっと出ていて、材をそのテーブルの上を滑らせながらカットしていく電動工具になります。
木材などをまっすぐに正確に切ったり揃えたり、溝を切ったりと、用途はいくらでもあって、あると無いのとでは随分と違うなぁと感じます。
しかし、その分、部屋の真ん中あたりを陣取る感じになりますから、大変スペースを圧迫するわけですね。 そして巻き上げる「おが粉」が半端ない!
約3年前、コロナ禍中にこのテーブルソーを購入してからずっとこの「おが粉」に悩まし続けられ、去年の夏にやっと対策に着手しまして、その結果を紹介していきますね。
結論から先に言いますと、半分以上・・いや8割くらいは回収できたと実感しています。
電動工具類はテーブルソーに限らずおが粉を出します。丸ノコ類やサンダー、トリマーなどもおが粉を撒き散らしますが、特にスライドソーやテーブルソーはおが粉を遠くまで飛散させるようで、掃除が大変になります。たとえDIYレベルでも、天然の木材の粉塵は健康被害を及ぼすと言われていますし、合板には接着剤等の合成樹脂が含まれているので尚更です。気を使いすぎることはないと思われます。
購入したテーブルソーは比較的安価な藤原産業の「SK11 STS-255ET」で、集じん用の配管はあるもののほとんどざる状態で、おが粉はテーブルの上(テーブルインサート)からも、テーブルの下からも吹き出します。
それもそのはず、テーブル上部のインサートにはノコ刃を傾けたりするため大きな隙間があり、下は下で覗くとノコ刃が丸見え状態で、これでは高回転で回る刃やモーターの起こす気流で部屋中におが粉が舞い散るのも無理もない話です。
ネットやYouTubeで調べると同じ問題に頭を抱えている方は多いようで、いろいろな方がいろいろな対策を考案されています。特に下から出るおが粉に対しては本体のありとあらゆる穴を塞いで下に貯めたり吸い出したりする方法が多いようでした。
しかし、この方法ではモーターの冷却ファンで下に落ちるおが粉がモーターハウジングの中にまで侵入してしまい、結果的には製品の寿命を縮めることになるのではないかと心配になります。
YouTubeチャンネルの「DIYの電動工具はこれ!」では分解動画を紹介してくださっていたので、これを参考に自分でも何か良い方法がないか分解することにしました。するといろいろなことに気が付きます。
各パーツの意味不明なネジ穴、ダイキャストの作り、なにか途中で設計変更があったような痕跡など、もしかしたら本来は集じんに対してもっと効率よくできるよう設計していたのではないかと・・ コストの点で省いてしまったのではないかと・・
そんな憶測が浮かんできます。 まぁ、ちょっと大げさですがこれが大きなヒントとなります。
調べてみたら案の定、この機種(STS-255ET)の前の型はノコ刃を覆うようにケースが作られていました。 (上の図:ネットより引用)
しかし、別の画像を見るとノコ刃の昇降や傾けによる隙間があり、やはり完璧におが粉を回収するのは難しいように思われます・・
ノコ刃を囲うケースを完全なものにする!・・この難題が解決できれば下に落ちるおが粉は100%集じん機で回収できるということですね。
ノコ刃の昇降や傾けによってどうしてもできる隙間、とりあえずテーブルとの隙間とモーターを上下するためのスリット、この2つがしっかりシールドできればかなりの効果が期待できます。
では早速、改造の部分を見ていただきます。
・・とりあえず拙いスケッチ(下の図)をご覧ください。
簡単なものや何度も作っているものなら、スケッチや図面を描かずに適当に作っていくのですが、込み入っているものや構造が複雑なものは仮想としてイメージします。仮想なので間違いをおかしていることも多く、組み立てる途中で気がつくこともあります。なのでこのアイディアスケッチである程度見通しかついたら実践に移ります。試行錯誤しながら組み立てるというのが基本ですかね。
スケッチではシールドをA、B、Cと3つに分けてあります。
( A・B・Cは上のスケッチと下の完成写真を照らし合わせて確認ください)
AとCはモーター(ノコ刃)の昇降の時に変化する隙間に対応するシールドです。
Aはモーターユニットの可動部とテーブルの隙間とを山折りにしたPP(ポリプロピレン)シートで塞いでいます。ノコ刃を傾ける時も山の形が変わります。
Cはノコ刃の昇降のみに関わるシールドで、2枚のPPシートをシャッターのように重ねてスライドさせています。この2枚はモーターとユニットの鉄板の隙間に挟み込みます。
写真ではさらにDとEのシールドが見えます。
Dはモーターユニットとテーブルとの隙間を塞ぐシールドで2箇所あります。
EはAの山折シールドの両脇を塞ぐためのものです。
これだけ塞ぐと昇降ギアやモーターはほぼ完璧におが粉から守られると思います。
下の写真は別の角度から見たところですが、Cのシャッターのシールドわかりにくいですよね。
シャッターは山折シールドよりスペースがある場合に有効です。2枚のPPシートをそれぞれずらすことで広い面積をシールドできます。
次にその型紙の形状を紹介しておきます。
下の工作用紙の上に置いているのが各シールドの型です。
Cのシャッターシールドは上下の2枚のPPシートでできています。下のシールドはモーター部分にはまっていてモーターを昇降させると一緒に動きます。上のシールドは下のシールドにつられて動きますが、ある位置でストップします。(シャッターシールド連動の図を参照ください)
上の図のようにそれぞれのCのシールド(オレンジと青)の可動範囲が違うことで穴を塞ぐことができます。
もっとシンプルな方法があったかもしれませんが、モーターとギアを守るにはこの方法がベストだろうと思います。しかし、型を取ったり移動する幅を計算したり修正したりと、何度か試行錯誤を繰り返す必要があり、一番苦労する部分ですね。
モーターと反対の方をシールドするのは比較的簡単にできます。
下の写真がそうなのですが、モーターユニットとテーブルに山折のシールド(B)を貼り付けて、その側面を塞ぐだけです。山折なのはノコ刃の傾きに対応させるためです。
写真を見てお分かりになると思いますが、PPシートや強力粘着テープ、スチレンボードや隙間テープなどを駆使しております(笑
側面のシールドもシャッターのようになっていて、モーターユニットの傾きに応じて2枚のPPシート等を重ねることによって隙間がないようにしています。
側面シールドの型を見ていただけるとわかると思いますが、この部分の形状出しもかなり苦労しました。説明不足ですが、下の写真でなんとか理解していただけたらと思います・・
これでほぼ完璧にテーブルより下にはおが粉が落ちないようになります。
さて、これでテーブルソーのおが粉対策はこれで完璧と言いたいところですが、実はノコ刃の回転によりテーブルの上に吹き出すおが粉の量もけっこうあります。
ネットでよく見かけるのが、テーブルの上に出たノコ刃を覆うカバーをつけて、集塵ホースにつなげるものです。今回はこれは作りませんでしたのでまた良いアイディアが思い浮かべば制作したいと思います。
とりあえずテーブルインサートをゼロクリアランスにして、テーブル上に吹き出すおが粉を最小限にします。
ゼロクリアランスとは全くゼロではないのですが、ノコ刃とインサートの隙間をできるだけ小さくしたものです。ノコ刃を45度などに傾けると別のインサートが必要になります。
下の写真はテーブルインサートを外して上からシールドの様子を見たところです。
集塵ホースアダプターも3Dプリンターで作り、エアー漏れがないように・・
これが自分の限界でしょうか(笑
今回のDIYネタは以上となります。
どうでしょうか・・何か参考になりましたでしょうか?
たぶん説明不足で同様の作業をしてみるのは大変かもしれませんが、これからおが粉対策をされる方には、ヒントくらいにはなっていたらいいかなと思います。ブログやYouTubeでたくさんヒントをいただいているので、そのフィードバックになっていたら嬉しいですね・・
スケッチのところでも書きましたが、こういうことは試行錯誤の連続です。いったん機能して使えたとしても後でもっと良い方法が見つかることも多いですし、なによりいろいろな方の知恵や工夫を活かしながら工具がより使いやすくなるのは楽しいことですよね。
テーブルソー関連としては、平行定規を微調整できるように改造もしているのでできたらまたブログにしたいと思います。
ではまた機会があれば次のブログでお会いしましょう!
イラストレーションコース オカモトでした!
オカモトショーゾー
- Profile
- 大阪府出身
Nordbrücke版画工房に従事しリトグラフを制作。
1982年大阪靭ギャラリーにて初個展。
造形教室を主催し、油彩や3DCG、
ペーパークラフト、フィギュアなどを制作。
大阪市都市協会ギャラリーにて優秀賞受賞。
ペパクラデザイナーコンテストにて最優秀賞受賞。 - Message
- 変わらない大事なことも多いですが、
技術や流行は変化し流動的です。
同じく個人の世界も絶えず変化しているのでしょう。
そんな中でみなさんといっしょに表現するすべを
楽しくあるいは迷いながら発見し、
学んで行けたらと思っています。 - ArtWorks