ネームについて②
マンガコースこんにちは。マンガコースです。
今回は以前書いた『ネームについて①』の続きを書かせていただきたいと思います。
前回はどういう形式でネームを作るかについて説明させてもらいましたが、
今回は読みやすいマンガを作る為に、
ネームを作る時に気を付けてほしい点?をいくつか挙げたいと思います。
マンガを描き慣れていない方は
特にやってしまいがちなミスなので、気を付けてみて下さいね。
◆1ページのコマ数
マンガのコマ数は、1ページにつき5~6コマ程度が基本になります。
もちろん描くマンガのジャンルや、
お話のどの部分(起承転結)を描くかによっても変わりますが、
極端に多いものは読みづらくなってしまうので気をつけましょう。
(原稿用紙自体は大きいですが、描けるからとコマを詰め込んでしまうと、
実際に本や電子書籍になった時には縮小されてしまうので物理的に読みづらくなります。)
コマ割りに慣れていない方は、
まずはどのページも5~6コマで割ってしまい、
その後1ページごとに大事なコマから順に大きさを決めて
パズル的に収めるというやり方から入るのもアリですよ。
◆セリフの量
こちらもコマ同様、数が多すぎると文字ばかりが目立ち、
絵のスペースも減ってしまうので読みづらくなります。
マンガはあくまで絵を中心として読むものです。
絵で説明できることはきちんと絵で描くように心がけましょう。
また、ひとつのフキダシに対するセリフの量も、多すぎると読みたくなくなってしまいます。
ジャンルにもよりますが、縦12文字横5行以上は、
パッと見た瞬間に「多いな」と感じてしまう文字量です。
セリフ回しがうまかったり、画面構成が巧みであれば、気にならないこともありますが、
可能であればセリフそのものを一文字でも減らせるように
違う言葉で言いかえたり語尾を減らしたり、
そういうことができない場合は2つのフキダシに分ける
(2つがつながっているフキダシでももちろん構いません)などして、
文字量の多さを感じさせないよう工夫して、
読者に読んでもらえるようにしてみましょう。
◆視線誘導を考える
難しい言葉と感じるかもしれませんが、
マンガを読んでいる人なら自然に行っている読み方です。
マンガは読む時、逆Z型に視線を動かすと言われています。
この視線の流れに沿ったコマ割りをすることが読みやすさにつながります。
また、コマの中にも視線の流れがあり、
主に向かって右上から左下に動くことになります。
そのため、1つのコマの中に複数フキダシがある場合は、
その流れに自然に沿うような配置をする必要があります。
それがうまくできないと、
読者に意図した順番でセリフを読んでもらうことが出来なくなってしまいます。
他に、もしキャラとフキダシが1つずつだったとしても、
セリフから先に見せたいのか、
キャラから先に見せたいかで配置を考えなければなりません。
この視線誘導を意識しないでコマ割りをすると、
とても読みづらいマンガになってしまいます。
(逆に読みづらくして効果を得ている作品もあると思います。)
難しく考えすぎる必要はありませんが、
慣れればそれを活かしてより効果的な演出を使えるようになりますので、
意識してネームを切ってみましょう。
◆1作品分の全頁通してのコマの配分を意識する
ジャンルや話のテイストによっては必要がない場合もありますが、
読み切り作品の場合、最初の方はコマが少し詰め気味でも、
段々お話が盛り上がるにつれて1ページあたりのコマ数を少なくしていき、
一番盛り上がる部分ではコマ数を一番少なく(贅沢に)使う、という配分が一般的です。
その方が、読者が作品を読むスピードが上がり、テンポが出やすくなるためです。
(逆に淡々とお話を進めたいときは、大事なところ以外は同じ調子でコマを割ることになります。)
1ページごとの構図ももちろん大事ですが、
前回の『ネームについて①』で上げた
豆ネームで1作品分をぱっと見た時、
コマ数の配分の仕方で盛り上がる部分が一目で分かるようにすることも大事です。
またコマ数を減らすと同時に、
1ページ(もしくは1コマ)あたりのセリフ量も少なくして行けば、
より読むテンポを上げることが出来ます。
構図での盛り上げももちろん大事ですが、
コマやフキダシの量を調整することでも、
読者の読むテンポを変えることができますので、意識してみましょう。
◆場面転換を丁寧に描く
シーンが切り替わった時には、
必ず『そこがどこで、誰がどんな位置にいるのか』を読者に伝える必要があります。
状況が分からないまま話が進むと、
読者が混乱して話に入りにくくなってしまうからです。
ですので、コマ割りに慣れないうちは
場面転換した時は、オーソドックスに、
『場所(や時間)を示す絵(昼か夜かわかるように空も入れた建物の引きの絵や、看板のアップなど)』や『背景込みのキャラの絵(歩く・立つ・座るなどの動作が分かるようにして、かつ複数いる場合は、キャラ同士がどういう距離で配置されているのかもわかるようにする絵)』を必ず入れるようにしましょう。
慣れてくれば、こういう定番の描き方でなくても
読者にすんなり状況を説明出来るようになったり、
オーソドックスな見せ方に手を加えることで
ただの状況説明のコマではなく、
演出上有効なコマとして描くことができるようになります。
上記5点は、読みやすいマンガを作る為の大切なポイント?です。
いくら絵がうまかったり内容が面白くても、
読者が「読みづらい」と感じてしまえば、
作品の魅力は半減…どころか、
読むのを止めてしまうかもしれません。
マンガの読みやすさは基本のルールを守りさえすれば改善しますし、
ルールを踏まえた上での演出を心掛ければ、より一層の効果を得ることが出来ます。
ネームはそこを吟味する大切なものなので、
初心者の方ほどじっくり取り組まれることをお勧めします。
頑張って下さいね!
井原 安子
井原講師が在籍しているマンガコースのコース紹介はこちらです。