デジタル作画のメリット編

こんにちは。マンガコースです。

ここ数年でマンガ制作ソフトの性能がとてもよくなったこともあり、今はネームからフルデジタルで、という方がかなり増えています。実際教室に通う受講生の方の中でデジタル作画をされている方の割合もかなり増えています。

アナログで作成されている方でも教室でデジタル作業をされている方を見ると気になるようで、デジタル作画に切り替えていく方も少なくありません。その時いろいろ質問をいただくので、マンガの作画をデジタルにする際の、メリットとデメリットについて書かせていただきたいと思います。

まずはメリットの部分から。

☆トーンがたくさん使える

 アナログで制作する際、トーンをよく使う方はトーン代だけでかなりの出費になります。しかもグラデーショントーンの場合、好みの箇所を部分的に使うことが多いので不要になる部分が多く出てしまい、もったいないと思うこともしばしば…。けれどデジタルであれば、むしろグラデーショントーンは得意なので、好きな濃度や向き、形状も直線的なグラデーション以外にも好きに設定でき、とても便利です。しかもどれだけ使っても、基本的には無料。デフォルトに無いトーン柄でも、最初のデータ購入時にはお金が要りますが、一度買ってしまえば何度でも使えてとても経済的にお得です。

☆トーン貼りの作業が楽

 上記と少しかぶりますが、トーンはデジタルだと貼る作業がとても楽です。きちんと選択範囲を取っておけばはみ出しもありませんし、貼ってから「この柄じゃなかった…」と思って貼り替える場合、アナログだと最初に貼ったトーンは無駄になってしまいますが、デジタルだと問題無し。張り替え作業自体もとても簡単です。

また、髪の毛の先などのアナログだと上手く切り取れない細かな部分まで簡単に貼れますし、そういう小さい面積のトーンはいつの間にかはがれてしまうこともありますが、その心配もありません。さらに、トーンの網目の角度もデジタルだと正確に好みの角度に貼ってくれるので、線数さえ気を付けておけば、重ね貼りした時のモアレも起きません。特にアナログだとグラデーショントーンはグラデーションさせたい方向に合わせて貼るため、どうしても網目の角度をそろえることをあきらめるしかないことが多かったのですが、その必要もありません。

削りの作業も簡単です。アナログだととても時間がかかりますが、デジタルだとブラシでさっと削れるのでそんなことはありません。削りカスで部屋を汚すこともありません。

☆やり直しや修正が簡単

 これは特に、デジタルならでは!のメリットですね。描いた線は何度でもやり直せますし、設定さえしておけば、消してしまった絵でも復活させることができます。絵のサイズの変更や移動なども、アナログでは手間のかかることがデジタルだとさほど労力をかけずにやり直すことが出来ます。

☆背景を描く作業が楽

 マンガ制作ソフトでは背景を描く時に便利な、パース定規機能があります(ないものもあります)。アナログだと消失点が遠い場合、紙を何枚もつなげて長い定規などを利用したり、ガイドを描いたり、使い方にコツのいるパース定規を使うなどして背景を描きます。けれどデジタルのパース定規機能を使えば、消失点の位置を設定するだけで、そちらの方向に何となく線を引けば、きちんと消失点に向かった線を引くことができて便利です。

他には写真を加工したり背景画像の素材を利用して、シーンに合わせてサイズなどに変更を加えることで違和感のないリアルな背景を簡単にはめ込めたり、一度描いた背景を使いまわしたり(アナログだと、コピーでサイズを調整して切って貼る…という感じで使っていた機能と同じですね)、使えるソフトは限られていますが、3Dで作られた背景を利用するとカメラアングルなども自由自在なので、面倒な背景を簡単に入れることが出来ます。

☆細かいところまでしっかり描ける

 アナログでは細かく描くにしてもある程度限界がありましたが、デジタルでは画面表示を拡大できるので、細かい部分もしっかり描き込むことが出来ます。もちろん手直しも、アナログでは難しいサイズでもピンポイントで簡単にすることが出来ます。

☆原稿のやり取りが早くて楽

 描いた漫画を編集部や印刷所に送る手間が、デジタルではとても簡単になります。梱包や発送のために郵便局などに行く必要はありませんし、基本的にはすぐ送ることが出来ます。郵送途中での原稿の破損や紛失などの心配もありません。

☆セリフの文字入れが便利

 マンガは投稿する場合、アナログだと台詞部分は鉛筆で書いておく必要があります。そのため、下描きを消す時に一緒に消してしまったり、きれいな読みやすい字で書くのも意外に時間がかかり面倒です。

 デジタルの場合セリフの文字はパソコンで入力するので、当たり前ですが読みやすくきれいな文字を簡単に入れることが出来ます。また、トーンや絵の上にセリフを入れる際は、アナログだとトレーシングペーパーを原稿にかけた上に字を書く必要がありましたが、デジタルだと他のセリフ文字と同様に入力するだけなので、その手間がかかりません。

☆遠方でもアシスタントが可能

 アナログで作業の場合、アシスタントをする場合は基本的にはその作家さんのところまで行くことになります。ですので、地方に住んでいる漫画家志望の方はアシスタント先が少ないですし、逆に地方の作家さんもアシスタント探しが大変でした。郵送で原稿をやり取りする場合もありますが、その分時間のロスがあります。

 デジタルだとオンライン上でのやり取りが多いので、どこに住んでいてもアシスタントをすることが可能です。また自宅で作業が出来るため、時間的・金銭的な負担が作家の方もアシスタントの方も減ることになります。また直接会わない(話さない)作業場も多いので、コミュニケーションが苦手な方にもいいかもしれません。

 

 他にも色々デジタルのメリットはあると思いますが、主なところではこんなところでしょうか。それでは次回は、デジタル作画のデメリットについて上げていきたいと思います。

 

 

井原 安子

ihara2014
Profile
同志社 大学経済学部卒業
大学在学中 マンガ家デビュー
現在はフリーのマンガ家として雑誌掲載
コミックス発行などで活躍中
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マンガを描く上で、「やる気」はとても大切な要素です。
一人では持続させるのが難しくても、描く意欲を持った仲間と一緒なら、きっと頑張れるはず!
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