知ってる?知らない?マンガ用語あれこれその2

こんにちは。マンガコースです。
今回のブログは前回に引き続き、マンガを描く人は知っていても、描かない人は知らない(かもしれない)マンガ業界で使われている用語などを紹介します。マンガ業界特有のものもあればそうでないものも色々あります。思いつくまま順不同で掲載。今回は画材や技法を中心に書いていこうと思います。
個人的な解釈なので、他の意味で使う時があるものもありますが、ご容赦ください…。
これを全部知ってるあなたはマンガ通!かも!?

【描き文字】
 実際発せられた音である「ドカッ」や「バキッ」などに加え、雰囲気や状況、気持ちを表す「シーン」や「ドキドキ」などの効果音や、写植されない手書きのセリフ文字のこと。シンプルなものから凝ったデザインのものまで形状は様々。描き方やサイズによって、音の大きさや高低などを表現する。

【白抜き(白フチ)】
 描き文字や人物などがバックに埋もれてしまわないように、白いフチをつけて目立つようにすること。

【トーン】
 スクリーントーンの略称。透明のシートに模様が印刷されており、その裏には上から擦るとつぶれる粘着粒がついていて、アナログ原稿の場合、それを切り取って原稿に直接貼る。
トーンの柄には色々種類があり、紙媒体のマンガでは白黒印刷がメインなので、グレーを表現するために使われる細かいドットのトーン(アミトーン)や、グラデーショントーン、砂目などが良く使われる。また雰囲気を演出するための模様が描かれたトーンや、木や花などの自然物を描いたもの、街並みや教室などの背景を描いたものなどもある。
電子媒体で作品を発表する場合でも、グレーではなく、アミトーンなどを用いることが多い。

アミ グラデーション 砂目

【L/%】
アミトーンの場合、ドットの並ぶ列を示す線数(ライン数)のLと、そのドットが一定面積に占める割合(濃度)を示す%が表記されている。一般的に空や影を表現する時は60L(60線)/10%のトーンを使うことが多い。
デジタル作画の場合でもこのL/%の値は、アナログ用トーンで使われている数値を用いることが多い。

【重ね貼り】
 トーンを二重、または三重に重ねて貼ること。重ねることで濃い表現を出したり、雰囲気や奥行きを出すことが出来る。アナログの場合はあまり重ねすぎると一番下の線やトーンが見えなくなるので注意する。

【モアレ】
 トーンを重ね張りをした時、アミトーン(グラデ含む)の場合は線数の違うものや線数が同じでも貼る角度が少しでも違うと、幾何学的な模様が出てしまう時がある。これをモアレと言う。基本的にはモアレ無いように貼ることが基本だが、あえてモアレを出す効果を狙う場合もある。

【ぼかし】
 アナログトーンの場合、柄が印刷されている表面の部分をカッターで削ることが出来る。それを利用して、ぼやけた効果を表現することが「ぼかし」である。デジタルの場合もアナログのトーンを削ったような表現方法でぼかしを入れることが多い。

【ミリペン】
 1ミリ以下の単位で太さが色々あるサインペンの一種。(一部メーカーではそれより太いものもあり、2㎜や筆タイプのものもある。)アナログの場合、普段筆記具としてよく使われる油性ボールペンは使えないため、つけペン以外で線を引きたい場合用いられることが多い。主に枠線引きに使われるが、背景や人物もこれでペン入れする人もいる。

【雲形定規】
 曲線だらけの変わった定規。だいたい大中小3本セットになっていることが多く、いろんな角度の曲線があるのでその中から好みのカーブを見つけて、フリーハンドでは難しいきれいな曲線を描く。車などを描く時に便利。

【テンプレート(画材)】
 画材名として使われるテンプレートは、一定の図形を描くための定規の事。マンガでは主に円を描く時に使われる。薄いプラスチックの板に、大小さまざまな正円や楕円の穴が開いており、その穴のふちをなぞることで、コンパスを使わずにきれいな円を描くことが出来る。アナログの場合、フキダシを描く時にこれを用いる人もいる。

【トレペ】
 トレーシングペーパーの略。半透明の薄い紙。何かの絵を写したり、アナログ原稿の場合はセリフが絵やトーンにかかる場合、このトレペを原稿用紙にかぶせ該当箇所にセリフを書いておくと、編集部の方で絵や文字の上に白抜き文字などを写植してくれる。

【トレース(トレース台)】
 透けない紙に何かの絵を写し取りたい時(トレース)に使う、光る台の事(トレース台)。その光る部分に写したい元の絵と書き写す紙を重ねておけば、光ることで下の絵が透けて見えて写すことが出来る。
別の紙に描いた下描きを、違う紙でペン入れしたい場合などにも使われる。
また、アナログでトーンを貼る際、濃い模様のトーンだとペン線が見えにくいため、トレース台を使うと線が見やすくなるので便利。

【ペンタブレット(板タブ・液タブ)】
 板状のものに専用のペンを使って描くことで、パソコンに絵などを描くことが出来る入力用機器。2種類あり、板タブと言われるものは、画面などが映し出されない板状のものの上で専用ペンを走らせる。その際手元のタブレットは見ずに、パソコン画面だけを見ることになる。
液タブは、モニターのように画面が映し出され、その画面に直接専用ペンを走らせることで描くことが出来る。液タブの方が価格は高いが紙に描く感覚と近いため、それを使う人も多い。
また、高価にはなるが液タブと同程度の機能を合わせ持つ、PC内蔵型タブレット端末がある。PC部分とペンタブ部分が一体化しているため、持ち歩きしやすく便利。

【解像度600dpi】
 デジタル作画の場合、白黒原稿では線をシャープに見せる必要があるため、データの解像度は最低600dpi、パソコンの性能が良かったり、繊細な絵を描く場合は1200dpiで設定する。(カラー作品は300~400dpiが多い。)

【白黒二値(モノクロ2値・白黒二階調)】
 デジタル作画の場合でも紙に印刷することを想定してデータを制作するが、印刷する時は一般的な印刷だと黒一色で印刷するためグレーを印刷することが出来ない。そのため線をきれいに印刷されるようにするには、そもそものデータ画面を「白か黒のどちらか」で制作しておく必要がある。それが白黒二値である。
 もしグレーでデータを作成していて、それを普通に印刷した場合、グレーの濃度によって印刷されたりされなかったりする部分が出てきてしまい、掠れたような状態で印刷されてしまう。
 ただし同人誌などを印刷する場合、印刷所の方で「グレースケールOK」という場合もある。

【内枠(基準枠)】
 マンガは原稿用紙いっぱいに描くのではなく、一定の決められた枠内に収めて描く。内枠は「絶対に印刷に出る範囲」の枠で4コマ漫画などはこの枠内に描かれることが多い。セリフや大事な絵は、この内枠内に入れるのが望ましい。

【タチキリ】
 内枠から外、本になった際、誌面の端まで描く事。そのコマ。ただし紙に印刷された時の多少のずれを考慮した余分を含めて描くため、原稿用紙上では端まで描かず、決められた範囲に描く。

【ノド】
 本になった際、綴じ側にあたる内側の部分。内側いっぱいに絵を描くと本を目いっぱい開いても見えないことが多いため、基本的にはノド側数センチは絵を描かない。(見開きの場合を除く。)

【見開き】
 本を開いたときの左右の2ページを合わせたもの。マンガは基本この見開き単位でコマ割りなどを構成する。
 また、見開き2ページを1枚のページとして捉えてコマを割ることも指す。

【めくり】
 一般的なマンガの場合、左ページをめくって次のページに進むが、そのめくるページの一番最後のコマを「次のページを見たくなるもの」を意識して描いたり、めくった先の右ページの1コマ目に目立つコマを配置することなどを「めくりを意識して描く」と表現する。めくった先のページ(見開きの場合は右ページ)の1コマ目のみを「めくり」と言うこともある。

【引き】
 上記の「めくり」とセットで使われることもある。その場合は上述と同じような意味で使われる。主にめくる前のページ(見開きの場合は左ページ)の最後のコマのことを指す。
また連載漫画の場合、ラストで読者が続きが気になるように演出することとしても良く使われる。

【ぶち抜き】
 人物などの絵をコマの枠からはみ出して、目立たせるように描くこと。2段ぶち抜き・3段ぶち抜きなどもある。

【扉・扉絵】
 本そのものではなく、雑誌などに掲載された時の各マンガ作品それぞれの表紙部分。タイトルやアオリ文が入る。扉ページもマンガ作品の枚数として数える。
ちなみにタイトル文字はマンガ家がデザインするのではなく、デザイナーがデザインする。(たまにマンガ家自身がタイトル文字のデザインを行うこともある。)

【アオリ】
 扉などに描かれる作品を盛り上げるためのキャッチコピーや内容紹介の短い文章の事。基本的にはアオリは編集者が考えてくれる。

 今回はここまでです。出版や編集部関係のことも入れたかったのですが多くなってしまって入れられなかったので、また今度ご紹介したいと思います!

井原 安子

ihara2014
Profile
同志社大学経済学部卒業
大学在学中に漫画家デビュー。
以降、読み切り・連載作品を発表、コミックス出版を重ねる。
現在はフリーのマンガ家として活動中。
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小さい頃から、マンガを描くのも読むのも大好きで、今は趣味も仕事もマンガという大人になりました(笑) 特に読む方はジャンル問わずです。
好きな気持ちとやる気は、マンガ制作の大きな力になります。初めての方もレベルアップしたい方も、ぜひ一緒に頑張っていきましょう!
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