公募に出そう!
絵本と表現コース前回、絵本コースのブログは「公募について」でしたが、
今回は「公募への対応」を考えてみたいと思います。
有名な絵本のコンペには「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」がありますが、絵だけではなくストーリーも合わせての作品や、海外は敷居が高いという方には、もちろん日本にも絵本のコンペが沢山あります。絵本コースの受講生が「第6回 MOE 創作絵本グランプリ」の佳作に選ばれたコンペは、雑誌MOEを発行している白泉社が主催しています。ただし公募の主催者は出版社だけではなく、ギャラリーや財団などいろんな場合があります。これは絵本の持つ多様性のあらわれです、つまりいろんな場所で絵本が求められていることがわかります。
そして応募先を決めるに際には、締め切り時期だけではなく募集要項もチェックしてください。それぞれのフォーマットが一定ではないのでわかりにくい場合もありますが、よく読むといろんなことがわかってきます。例えば応募資格として『ピンポイント絵本コンペ』では「オリジナル、未発表のもの。読者対象問わず」とあり、『講談社絵本新人賞』では「幼児・児童を読者対象とした自作未発表の創作絵本作品」とあります。
つまり、公募で求められる絵本とは、作者がつくっただけでは完成せず、読者が読んで初めて完成するという事なので、対象読者を設定しコンペが開催されているということです。読者をどう設定するかによって、おのずと作品の細部は変わってきます。すると今まで読者対象を考えて、絵本を作っていたのかと自問する必要がでてきます。幼児・児童を読者に設定した場合は、難しい表現は避けた方が幼児・児童にはには伝わりやすく、反対に読者対象を問わない場合は、多様な表現が試せると思います。
以下に、開催回数の多い主な絵本コンペ(絵本テキストのみも含む)の情報の一部をピックアップします。ただこれは現時点での情報なので、今年の分もありますが、まだ昨年のままの情報もあります。情報は変わりますので、常に新しい情報にアクセスし対応するようにご注意下さい。
2017年に18回目
主催/Pinpoint Gallery
応募資格は不問、参加料4,000円が必要。オリジナル、未発表のものを募集、読者対象も不問。
2017年に12回目
主催/射水市絵本文化振興財団
募集内容は未発表の手づくり絵本。過去1年以内に制作したものでテーマは自由。
2017年に39回目
主催/講談社
募集内容は原則として、幼児・児童を読者対象とした自作未発表の創作絵本作品。
単行本として絵本を商業出版(自費出版・共同出版を除く)された実績のある方は応募できない。
2017年に10回目
主催/日本児童文学者協会と童心社
募集する作品は、子どものための絵本テキスト(文章)。
テキストの文章は、展開を考えて場面割り(絵は不要)が必要。
2017年に6回目
主催/白泉社MOE編集部
本格的な1冊の絵本を念頭に、MOEや絵本界で活躍できる「プロ」の才能を広く募集。
2017年に34回目
主催/ニッサン自動車・(財)大阪国際児童文学館
応募資格として年齢、性別、職業などの制限はないが、
作品を商業的に出版されたことのないアマチュアの方に限る。
構成、時代などテーマは自由、未発表の日本語の作品に限る。
子どもを対象とした創作童話、創作絵本を募集。
2017年に10回目
主催/Be絵本大賞委員会(フジテレビKIDS、BSフジ、ポニーキャニオン、扶桑社)
応募資格として年齢、性別、職業は不問。
子どもたちに向けた絵本であれば、テーマは自由。
ただし未発表のオリジナル作品に限る。
以上が毎年募集されているコンペの一例です。過去の入選作品をアップしているサイトもあるのでHPをよくチェックして下さいね。また何年も長く続くコンペは信頼されている証拠です。もちろんこれ以外にも沢山のコンペ・公募が毎年募集されていますので、自分に合うものを前回の絵本コースのブログや公募情報雑誌・サイトで探すことも楽しんで下さい。
最期に、公募に出すことで作品は一旦自分の手を離れます。手元に置いたままの作品はどうしても思い入れが強く、なかなか客観視できない場合が多いのです。長い時間を費やして作品をつくったら、やみくもに応募するのではなく、自分の作品はどういうものなのか?何を伝えたいのか?応募要項も合わせて考える事が、自分の作品を客観的に観る事に繋がりますので、ぜひチャレンジして下さいね!
絵本コース講師 中田弘司
中田 弘司
中田講師が在籍している絵本コースのコース紹介はこちらです。