-レポート- 『絵本コンペへの応募!』
絵本と表現コース先日、絵本コンペに応募しましたので、その状況と、その時にどう考えたかをレポートします。
絵本コンペはどれも同じように見えますが、内容は主催者によって違いがあります。 新人発掘や古くから絵本を出している出版社主催の場合、子どもを読者として設定し募集している事が多いのは、絵本の基本的な考えは「子どものための本」だからです。ただ、新しい出版社などは多様性や独自性を強く求める所もあります。また地方自治体が主催の場合は、地域の振興のため絵本を利用されている場合もあり、子ども向けにこだわらず間口は広いように感じます。 読者設定をしていない公募の場合は、自分の中に描かずにいられない欲求や伝えたいメッセージがあればよいのですが、それらがない場合は「テーマ」があると創りやすくなります。企業や団体が主催している場合、そこには企業や団体の運営目的がありますから、それに添って「テーマ」が設定されている場合が多いで、応募要項やその背景をよく読むとアイデアに繋がることもあります。
今回応募したのは「第4回こころの絵本大賞」主催は(公財)仏教伝道協会というところです。教室にも募集チラシが届いていました。「テーマ」としては「家族、友だち、勇気、いのち、思いやり、愛情のいずれか1つ」と設定されていました。そして「読み聞かせを通じて、子ども達に「こころ」の大切さを伝えたい!」と書かれていたので、絵本の方向はおのずと決まってきますが、どこかで見たことのあるような世界はさけ、その人にしか出来ない作品、そして楽しんでいるかが絵本の構成と共に、公募対策では大切になってきます。
制作者のタイプ(職人、デザイナー、芸術家など)にもよりますが、私は元々デザイナーをしていましたので、こういうふうに条件が設定されていると考えやすいです。いつもの仕事の場合は、発注者が今までの仕事内容からイメージをするので、どうしても作品は自己模倣におちいります。仕事ではこってりとアクリル絵の具をキャンバスに塗っているのですが、今回はシンプルに画材も変えて、切り紙に色鉛筆を試してみました。お話は分かりやすく、ページをめくると画面に変化があるように、絵本ならではの構成にも注意しました。
▲この見開きは、風に飛ばされた主人公の「ひょうたん」が、山の中をさまよう「不安感」を、
▲そして、ページをめくって「出会い」と「驚き」からホッとするように「お話の展開と共に気持ちが動く」ことを考えました。
このコンペは、まず原画ではなくカラーコピーを送りました。一次通過すれば連絡が入り改めて原画を送り、それで審査されるという流れでした。最初から原画は送らなくてもよい、この形式の公募も最近は多いですね。
そして最終的には、おかげさまで「佳作」の連絡をいただきました。
その後、主催者側の使用の了承をする旨と、作品はオリジナルである事を証明する書面にサインし返送。主催者のHPに講評と共に結果がアップされたのをよく読んで、ここでの考えを理解し自分の考えと擦り合わせをし、次に繋げる課題とします。
すぐに佳作賞金の1万円が振り込みされました。そこで終了ではなく、ここからは営業として自分のHPやイラスト紹介のサイトにあげるために、主催者に著作権の確認しアップしました。著作権は作家のものですが、コンペによっては出版権が主催者に移る場合もあり注意が必要です。最後は個人のSNS(ツイッターとフェイスブック)にアップ。「いいね」と「おめでとう」のコメントをもらえ、やっと一息つきました。
絵本コンペに応募する事は、大賞をとらないと効率が悪いですが、今後の仕事の営業として考えると、ネタ作りと発信が出来るので必要不可欠、無駄にはなりません。そして作品づくりだけ考えると、仕上がった満足感と楽しい達成感、そして承認欲求が満たされ、次の課題も見えてくるので、何度でも試して自分の作品を客観視するためには効果的なのだと思います。
絵本コース講師/中田弘司
「第4回こころの絵本大賞」にて佳作 主催(公財)仏教伝道協会 「からっぽひょうたん、ひょうたろう」 作:なかたこうじ http://www.bdk.or.jp/kokoronoehon/4th/
中田 弘司