ガチガチに固まった筆を根元まで開く筆にする方法!!
絵本と表現コースこんにちは、絵本コース講師生川です。
今回は前回「ガチガチの筆を作らない筆の洗い方」でお話しした「ガチガチの筆を根元まで開く筆にする工程」をお伝えしようと思います。
工程は2つに分けて紹介します。 《1の工程》は、どの筆でも試せる安全な方法。 《2の工程》は、《1の工程》でダメなときの強行手段です。 《2の工程》は、筆を痛めることになる方法ですので、 捨てるよりマシくらいの気持ちで行ってくださいね。
▲こちらは、絵本コースにあったガチガチの筆に、《1の工程》を行なった状態です。
最初の画像はないので、お見せできませんが力を入れて筆を動かしても毛先2ミリ程しか動かないような、かなりのガチガチ具合でした。 画像ではだいぶ動くようになっていますが、まだ根元に絵具が固まっていています。
▲力を入れてもこれ以上開きません。
▲それが、《2の工程》まで行うと同じ筆と思えないぐらい根元まで開くようになりました。
それでは、実際にやっていきましょう。
まず、用意するものは
・ガチガチの筆 ・洗浄液(筆用) ・筆洗 ・絵皿 ・ラップ ・目打ち ・水(もちろん水道水でOK)
以上の7点です。
《1の工程》
ガチガチの筆が2の段階まで動くようになります。 表面が固まっている程度でしたら《1の工程》で綺麗に落とせます。 ※ 《1の工程》は写真がないので、イラストでの紹介になります。
[1]洗浄液に入れつけ置き
ガチガチの筆を洗浄液に入れ、10分ほどつけ置きしましょう。 洗浄液が絵具を柔らかくしてくれます。 当日の汚れならこれだけでほぼ落ちるでしょう。 10分経ったら、筆を動かしたり指で揉んだりして、洗浄液で柔らかくなったか確認しましょう。 絵具がきれいに取れていたら、そのまま[3]に飛んでください。
[2]ラップで放置
[1]をやっても、まだ絵具が取れていない場合。 今度は洗浄液をつけたまま筆先をラップで包み 30分〜1時間放置して洗浄液を筆の内部に浸透させます。 時間がある場合は半日ほど置いてても大丈夫です。 たまに筆先を揉み込んであげるとより洗浄液が浸透しやすいでしょう。
[3]筆を洗う
ある程度筆が動くようになれば1回筆洗に入れた水で汚れを落としましょう。 表面や内部に付いている絵具のカスがいっぱい取れると思います。 綺麗に取れているようなら、最後に水道の流水で丁寧に洗えば終了です。 取れていないようなら、もう一度洗浄液をつけラップに包み30分〜1時間置きましょう。 これを2〜3回繰り返せば、だいたいの汚れは落ちるはずです。
こちらは先ほどのガチガチの筆です。 《1の工程》を2〜3回行った状態なのでだいぶ動くようになっています。 表面の汚れは落ちていますが内部の絵具が芯のように固まって落ちません。
《2の工程》
強行手段です。筆を傷つけるような方法です。 高級筆、柔らかめの動物毛の筆は出来るだけ 《1の工程》を反復することをお勧めします。 ここから下は実際の写真となります。
[1]目打ちで固まりをほぐす
洗浄液をつけた状態で絵皿に筆をおき 筆の凝固している部分を毛流れに沿って目打ちを動かします。 目打ちなのでどうしても筆の毛を ちぎってしまったりすることがあります。 出来るだけ丁寧にゆっくり動かしてあげたほうが 筆の損傷は少ないです。 今回目打ちで行いましたが、とんがっていて細いものでしたら代用が効きます。 爪楊枝でも可能ですが、今回の筆のように凝固な固まりの場合は 目打ちなど硬いものの方がいいでしょう。
[2]絵皿の上でほぐす
[1]で筆が少しほぐれたら、絵皿で筆先を動かし 筆についている洗浄液をなじませて 汚れをとっていきます。 出来る限り根元まで動かしましょう。 洗浄液なのでかなり泡立ちます。
[3]水で洗い流す
[1]と[2]を数回繰り返した後、筆についている汚れを綺麗にします。 こちらも出来るだけ根元まで動かしてください。 [1]〜[3]までの工程をしばらく繰り返すと綺麗でサラサラの筆になります。 写真は洗い終わった水です。しっかり汚れが落ちています。
[4]お湯で形を整える
毛先がバサバサになってしまった場合は、絵皿などに入れたお湯で筆を根元から洗った後、手で形を整えてあげるとある程度は綺麗に戻ってくれます。 [3]の水で洗い流す部分もお湯の方がより早く落ちますが、 動物の毛など繊細な筆は毛先が縮んだり、パサつくことがあるので もしお湯を使う場合は、筆用のトリートメントも使ってあげた方がいいでしょう。
▲《2の工程》まで行なったものがこちらです。
▲《1の工程》を終えたものと比較しても、根元まで開く筆になっていることがわかるでしょう。
根元がずっと固まっていたので、割れ癖は残ってしまいましたがざっくりとした塗りやドライブラシとしてなら、問題なく使用出来るでしょう。
いかがでしたでしょうか? 本来は、このような筆を作らない事が一番ですが、もしもの時は試してみてくださいね。
生川 彩
- Profile
- ‘13 神戸芸術工科大学デザイン部 ビジュアルデザイン学科絵本コース卒
ギャラリー葉「ずーたのおもちゃの箱」
‘14 ギャラリー葉「ずーた&M&Nのおかしの国」
‘15 ギャラリー葉「ものがたり展」 - Message
- 楽しく自由な絵本が好きで大学で絵本を学びました。最初は不安に思うこともあると思いますが、不安が楽しみに変わるよう学んだ知識と経験を生かして、みなさんが納得のいく作品に仕上がるよう共に考えアドバイスします。「やりたいこと」を大事にして、楽しく絵本を作りましょう!
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