版画道具の手入れについて【彫刻刀】
版画コースこんにちは。 版画コースの平田です。 新しい年が始まりましたね。2020年、どんな一年になるか楽しみ です!
さて、年初めに私がすることは、道具の手入れです。 一年間お世話になった道具をきれいにしたり、修理したり、手入れ をしたり買い直したり、今年もきちんと使えるように整えます。 木版画は結構道具が必要となります。 彫刻刀、刷毛、筆、バレン… 今回は、彫刻刀の手入れについて触れたいと思います。
彫刻刀は刃物なので、包丁を研ぐときと同じように砥石を使って手入れします。 左:天然石の砥石 右:人工石の砥石
人工、天然ものどちらがいいの?とたまに聞かれますが、どちらでもそれほど違いはありません。 しっかりと研ぐ技術があれば、最終の仕上がりにそれほど差は出ませんが、自分のお気に入りの砥石で研ぐことは、道具に対して愛着も持てますし、納得いくまで研ぐきっかけになります。 値段はピンキリなので、愛着のもてる砥石を見つけることをオススメします! 人工のものは、大きい画材屋さんや刃物屋さん、ホームセンターで手に入ります。
天然のものは、石材店、刃物店で売っていますが、一点限りのものです。“いいなぁ〜”と思ったら即買いかお取置きです、次は一生お目にかかれないかもしれません。
少し脱線しましたが、気を取り直して研いでいきます!
人工の砥石は、吸水性が天然のものより時間がかかるので30分ほど水に浸しておきます。
天然の砥石は、研ぐ前に濡らしてあげたらOKです。 右側が霧吹きした状態です。 左側は水0なので、ここで研ぐと歯が欠ける原因になります。砥石には必ず水を含ませて作業していきます。
どちらの砥石も研ぎながら霧吹きで水分を追加しなければいけませんので、霧吹きとウエスの準備は必須です。
この平刀を研いでいきます。
平刀の斜めになっている部分をしっかりと砥石に密着させ、研いでいきます。
研ぐときに、ストロークを長くすると「研いでる!」と思いがちですが、ストロークは短い方が、砥石と刃の接地面がグラつきにくく、しっかり密着した状態で動かせます。砥石と刃の接地面がグラついてしまうと、せっかく研いだのに、研げている部分と研げていない部分ができてしまいます。 慣れていない人には、ストロークは短くして研ぐことをオススメします。
さて、5〜6分研いでみました。 …もう少し研ぎます。
研いでいくと、鉄がキラキラと輝いていきます。それを目指しましょう!
今回研いでいる彫刻刀は、「二枚刃」と言って、研いでいる側は鉄、裏側には薄い鋼で補強されてできています。 鋼は研ぐと悪くなってしまうので、ほとんどの場合研ぎません。鉄側のみ研いでいきます。
さてさてトータル15分ほど研ぎました。 ピカーーッ!と光ってます!これです、コレ! (写真加工していませんよ) ここまできたらOKです◎
彫刻刀一本に対して、15分ほど掛かりますが、電動研ぎ機なら2〜3分ほどで仕上がります。 砥石でも電動研ぎ機でも、慣れが必要ですが!
普段使っている道具を少し手入れするだけで、ほんの少し上手くなったような、思い通りに出来上がったような気にさせてくれます。 上手くできないなぁ〜と落ち込んだら、道具のお手入れをしてリフレッシュしてはどうでしょう。 道具たちがいい作品へ導いてくれるかもしれません。
版画コース 平田
平田 彩乃
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略歴
‘89 愛知県生まれ
‘13 京都精華大学芸術学部メディア造形学科 版画コース 卒業
‘15 京都市立芸術大学大学院前期博士課程 版画専攻 修了受賞
‘12 第37回全国大学版画展 収蔵賞
‘15 京都市立芸術大学制作展 同窓会賞
‘17 International Sint-Niklaas蔵書票展 入賞 - Message
- 木版画の新しい一面やおもしろさ、奥深さを一緒に体験できたらなと思います。
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