3Dソフトで試せる〈光と影と陰影〉のはなし
「この明かりでこの形を見た時、一体どんな見え方になるんだろう?」
現実にある物ではなく、空想の物体をリアルに描こうとした場合、
自然な陰影や影をどのように描けばいいのか悩むことはないでしょうか?
例えば次の画像を見て下さい。
画像は手描き風に仕上げたCGですが、もしデッサンの心得のある人ならば、
このような立体物の影と陰影を、おおよその推測だけでそれらしく描くことが
できるのではないでしょうか。
「光がこうなら、この辺に影がきて、照り返しがあって…」という具合に。
でも、もしこれらの立体物が全てガラスの塊だとした場合はどうでしょうか。
ガラスに見えるような “それらしい陰影” を描くことができるでしょうか。
たぶん「ええと…どうなるんだろう?」と描きあぐねてしまうのではないでしょうか。
映り込みや屈折をともなう立体物の〈光と影と陰影〉を推測だけでそれらしく描くのは、
よほどの作画経験がないと難しいことだと思います。
でも、3Dソフトが使えれば、特別な画力がなくても、ガラスだった場合の見え方を
簡単にシミュレートすることができます。
立体物の素材を好きなように変更して、どのような影と陰影ができるのかを自由に試す
ことができるのです。
例えば、立体物が全てガラスだった場合は、こんな感じになります。
いかがでしょうか。
推測で描くのが困難なこのような〈光と影と陰影〉の様子も、3Dソフトが使えれば、
簡単に確認することができます。
画像の立体物は、四角い箱の中で1つの光源に照らされているだけのものですが、もし、
これがもっとこみいった環境であっても、カラーであっても、複数の光源に照らされて
いたとしても問題ありません。複雑さに応じて描画の計算時間は増えていきますが、
ソフトは淡々とその〈光と影と陰影〉をモニター上に描き出していってくれます。
このように、3Dソフトが使えれば、特別な作画技術がまったくなくても、比較的容易に
リアルな画像を得ることができます。
(もちろん、ものによっては素材写真の加工技術や作画力が必要になってきますが。。)
次の画像は、立体物が “鏡面仕上げの金属” だとした場合のものです。
これも素材の設定を変えただけですが、きちんと金属らしい様子になっています。
球体に壁面が映り込み、その壁面に光源が反射している様子までしっかりうかがえます。
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「こんな形の物が、こんな素材で、こんな明かりを受けた時、それはどう見えるのか?」
そんな立体物の〈光と影と陰影〉の作用を、3Dソフトはリアルに見せてくれます。
空想の物体をリアルに描こうとする時、3Dソフトが「使える」のです。
もちろん「3Dならなんでも簡単」という訳ではありません。
プラスチックや金属、ガラスなどといった一様な物体の表現は比較的簡単ですが、いざ
自然物や食べ物などといった微妙な質感が入り混じった複雑なものを表現しようとすると、
とたんに作業が複雑化し、あっという間に割の合わない苦難の大作業と化したりもします。
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3Dソフトの機能は日々進化しています。
簡単便利になりつつも、多機能化で複雑化していってるので、一概に何が簡単で何が難し
いのか言えないような感じなのですが、関連機能のすそのは広がっていく一方です。
一定のやる気と、ちょっとしたパソコンがあれば、
誰でもBlenderという無料の高機能3Dソフトをダウンロードして使用することができます。
初心者がすぐに使えるものではないかもしれませんが、助言してくれる人がいて、
数年計画で気長に続けることができたなら、きっと有益な制作スキルになるかと思います。
今回は、3Dソフトで試せる〈光と影と陰影〉のおはなしでした。
それではまた!