絵本を学ぶということ
高橋禎司「絵本を学ぶということ」
(登場人物のごしょうかい)
T:Tちゃー 絵本の先生をしながら絵本を作っている。趣味は軍艦模型
P:Pくん Tちゃーといっしょに絵の勉強中。推しキャラはオーベルシュタイン
P たのもう!
T どうした Pくん。
P 絵本を書きたくなったから、いろいろ教えて欲しいんや。
T あいわかった! それでは早速絵コンテ・・・ってその前に、Pくんはどんな絵本を作りたいんや?
P まだ考えていないなあ。
T じゃあそこからいこか。
P どうゆうこと? 何か絵本を作る「コツ」や「テクニック」を覚えてから、何を描くか考えたいんやけど
T うーん。まず「どうゆう」やなくてそこは「どういう」やな。言葉をきっちり使えな絵本は描けんで。
それから、絵本の「コツ」や「テクニック」みたいのもんは確かにある。あるけど、それは何か作品を作っていく中で教わったり、身につけるもんや。
P とにかく何か描けと?
T そういうこと。「絵本を学ぶ=描くこと」と思ってもらっていい。とにかくこんな話を描きたいなあ、みたいなのは?
P そうやなあ・・・舞台はヨーロッパ風で、お姫様がでっかい竜にさらわれて、それを勇者が仲間と一緒に倒しに行く、みたいなのは・・・
T んじゃそれでいこか。
Pあれ?
Tどうした?
P イヤイヤ、「それ、ドラ●エや!」とか突っ込まれるかとおもてたのに。あ、もしかしてドラ●エ知らんとか。
T ドラ●エぐらい知っとる。1から8までやった。けど2が一番大変やったなあ、ってそれはどうでもいいねん。イメージが浮かばんかったら、知ってるイメージや話をまねるとこからやってもいい。全然いい。
P そうなんやv
T 初めはドラ●エのつもりで始めても、きっと描くうちに少しずつ変わってくる。これはホンマやで。逆にそのままにしようとする方が難しいくらいや。とにかく練習と思って、知ってる作品を真似るやり方では決して悪くない。
P そうなんや!
T 「学ぶ」の語源は「真似る」といわれてる。「真似る」中で少しずつ違ってきたら、それはPくんのオリジナリティーがそこにあるということや。
P いきなり深いな。
T 絵本を一つ作ることで、絵本の基礎はおおかた身に付く。さっき話に出た「コツ」や「テクニック」はその過程で、僕ら絵本の先生がきっちり教える。そうすると、2作目からは自分の持ち味がうんと出せる作品が描けるようになるんや。3作目からは自分なりの「コツ」や「テクニック」が生み出せるようになる。
P そこまで行ったら、一人で作れそうやな。
T まあでも、先生じゃなくても、絵本をきっちりわかっている人に作品を見てもらうのは、何作描いても大事なことやと思う。Tちゃーは先生で教えてるけども、自分の作品はやっぱり他の先生に見てもらったりしてるで。
P 大変やな。
T ふふ、Pくん、これを「大変」と思うか「楽しい」と思うかで、いい絵本を作れるかどうかが分かれるんだよ。
P 要は「楽しめ」ということやな。
T 絵本ほど自由なメディアはない。これもホンマや。あれこれ悩みながら、自分の発想で新しい表現ができるっていうのは、ほんとに楽しいことやで。
P そう聞いたら俄然やる気が出てきた!何か描いてみたくなったわ!Tちゃーまた教えてな。
高橋 禎司 【絵本】
- Profile
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京都工芸繊維大学 工芸学部 造形工学科卒
建材メーカーでデザイン開発に従事
その後、絵画、絵本作成に取り組む
'19 有田川絵本コンクール佳作入選
'20 武井武雄記念日本童画大賞優秀賞 - Message
- 絵本作りに特別な才能は必要ありません。
ただ作品を作り続けることで、今まで見えなかったものが見えるようになったり、
より深く自分の伝えたいことが、伝わるようになるようです。
そして作り続けられる人は、楽しめる人です。
人から褒められて楽しい、上達するのが楽しい、ただただ絵を描くのが、 物語を考えるのが、それだけで楽しい。どれでもいいのです。
「よく知っていてもそれを好きなものには敵わない。 それを好きでも、それを楽しんでいるものには敵わない」 論語のことばですが、何かを創作する人には特に当てはまるように思われます。
講座を通じて皆さんが「楽しめる」お手伝いができれば幸いです。