『水彩画デッサン3つのコツ~描き方の基本を詳しく解説』

はじめまして、アートスクールオンライン講座、美術担当講師の合田徹郎と申します。
現在、アートスクールオンライン講座では『水彩デッサン基礎講座』【美術】『水彩デッサン基礎講座』|という講座を開講しております。

私の本来の専門分野は日本画なのですが(…ゆくゆくはブログに私の専門に関することも書いていけたらと思っています)、実は日本画と水彩画は、使用する画材や表現方法において共通する部分が意外と多い、お隣さんの分野なのです。そういう訳で、今現在は水彩デッサンの講座を開講させて頂いております。

今回はブログ初回ということで、水彩デッサンを描く上でのコツを3つ程ピックアップし、リンゴの水彩画の制作プロセスに沿って説明していけたらなと考えています。宜しくお願いいたします。



1.下描きは目印をつける意識を持つ


1つ目は下描きにおけるコツです。一度鉛筆デッサンを経験された方はよくわかると思いますが、デッサンの始まりはまず鉛筆で軽く当たりを付け、線だけで形をとっていきます。実はこの初めの段階で、鉛筆デッサンと水彩デッサンとでは心持ちが微妙に違ってきます。それは「透明水彩絵具を塗る時に目印になるように当たりを付ける」という意識があるか無いかの違いです。
鉛筆だけのデッサンなら、形の輪郭線を取り終えたらそのまま同じ鉛筆でモチーフを描きこんでいきますが、水彩デッサンは形を取り終えたら透明水彩絵具という違う画材に移行します。
そのため、必要以上に鉛筆のタッチが画面に付いていると絵具の透明感が損なわれて色が濁ったりってしまい、或いは絵具の色をどこから置いてゆきどこで暈(ぼか)したら良いのか等が段々曖昧になりわからなくなっていってしまいます。
そこで、初めの鉛筆で形を取る段階で「ここの境目あたりから色が変わる」「ハイライトになる白い部分は最後まで色を置かない」という目印を付ける意識が必要になってくるのです。
水彩画は、鉛筆のように綺麗に描き間違いを消すことが難しい画材ですので、この最初の段階における目印の付け方、謂わば、計画的に進めるための「設計図を描く」という意識がとても重要になってきます。





2.『思い切りの良さ』が意外と大事

次にご紹介するコツは、透明水彩絵具で色を塗る時に、「ある程度の段階で思い切って色を強く置く」 というものです。
実は水彩デッサンに慣れていないうちは、この「強く色を置く」ということが案外難しく、中々上手く描けない原因になっていることが多々見受けられます。
先ほどご説明した通り、透明水彩絵具によるデッサンは描き間違いを消すのが難しく、あまり後戻りが出来ないという特徴があります。
その特徴に引っ張られて、何度も描きこんでいるのにいつまで経っても色が薄くて存在感が出ない、、ということに陥ってしまいがちになるのです。
この問題の解決方法は、何といっても「エイと勇気を出して強く絵具を置く」、これ以外に選択肢はないです。なんだか精神論めいた話になってきましたが笑 しかし、特に最初のうちはどれだけの濃さで絵具を置いたらどのくらいの色の強さになるのか
、等は予測が出来ないものです。枚数をこなすと自然と色の出方がわかってくるので、それほど意識せずに絵具を使えるようになってくるのですが、、
やはりわからない頃の最初の勇気ある第一歩、これは失敗覚悟で行くしかありません。勇気を出して、思い切って強めに絵具を置いてください。






3.モチーフの色の変化をよくよく観察してあげること

3つ目のコツは、モチーフの微妙な色の変化を逃さず捉えていってあげる、ということです。
今回はリンゴを描いているのでそれを例に話を進めていきます。
当然ですがリンゴは一見すると真っ赤なので、チューブから出したままの真っ赤な絵具を単純にたくさん使って描けば良いじゃないかと思われるかもしれません。しかしよくよく目の前のリンゴを観察してあげると、ただ単純な赤というだけではないことに気付きます。
少し熟してきた上部の赤は少し紫がかって来きており、黄緑に近いヘタのまわりと赤色との境目は、微妙な鈍さがあって何ともいえない色合いになっていることに気付きます。
このように詳しく見ていってあげると、ただ単なる赤色という訳ではなく、赤の中にも様々な変化やバリエーションがあることに気付き、概念で思い描いていたリンゴとは全く違う目の前のリンゴの存在感に驚かされます。
その微妙で豊かな変化を絵に表すことが出来るのが透明水彩画の魅力の一つです。
単色の赤の上から薄く黄緑色を置いて鈍めな赤色を出してみたり、はじめに赤色に少し紫色を混色してから置いてみたり、、、目の前のリンゴの複雑な赤色を、工夫しながら描き出していこうとすることがとても重要です。
そして、そのような微妙な変化をモチーフから教えてもらい対話するように描くことが出来たら、新たな発見が様々に見つかり、より一層絵を楽しみながら描けるようになると思います。





今回は上記の3つのコツをピックアップして解説させて頂きました。この他にも水彩画を描く上で大事なポイントというものは無数にあります(例えば「色を置く順番は?」「色相関を考慮した描画の方法」などなど。)
水彩画やデッサンは初心者の方は難しいと感じる方も多いと思いますが、モチーフをよく観察し、上記に述べておりますコツやポイントを念頭に、細部まで丁寧にデッサンし着彩することで深みのある作品が完成します。
水彩画や油絵、またスケッチ等は、同じモチーフであっても描き手それぞれの感性を生かした表現をすることができます。
そのためにはまずは基本を習得しましょう。
基本を習得することで、水彩画・水彩デッサンだけでなく、油絵などの絵画も自分らしく豊かな表現ができ、テクニックを磨くことができます。
もしご興味を持って頂いて水彩画を描けるようになってみたい!と思われた方は、私の講座を受講して頂ければ幸いです。

【美術】『水彩デッサン基礎講座』

それでは次回も何卒宜しくお願いいたします。

 

 

合田 徹郎

合田徹郎
Profile

京都精華大学芸術学部造形学科日本画コース 卒業
京都市立芸術大学修士課程美術科絵画専攻日本画 修了
2022年現在 仏画の依頼制作などに従事しながら自身の作品制作活動も行っている
京都市立芸術大学版画専攻卒業

Message

絵を描く技術の向上はもちろん大事なのですが、対象をよく見て「このモチーフはこの描き方で試したらどうなるかな?」など未知のことへチャレンジする心構えも同じくらい重要です。
私たち講師もお教えしますが、見る対象からも色々学び取っていけると楽しく続けられると思います。

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