安田正弘講師インタビュー
講師インタビュー作品だけでなく、指導を通して生徒の心を惹きつける!安田正弘講師の魅力とは!?
記念すべき第一回目のアートスクール講師特集インタビューは、美術・デッサン基礎科の講師 安田正弘先生に、幼少期からプロまでの道のり、作品制作を通じて感じる喜びや刺激、アートスクールとの出会いや普段のご指導のことまで伺いました。
- ―― 少し緊張されているようにお見受けしますが、インタビューなどは慣れませんか?
- そうですね。普段インタビューなどは縁がないものですから。面と向かって、さらに自分のことを話すというのは、緊張というか恥ずかしい気もしますね。(笑)
- ―― 普段から生徒さんと接している方でも、そんなふうに思われるのですね。
- お手柔らかにお願いします。
幼少期から興味のあった芸術世界へ
- ―― 安田先生は講師という仕事をいつ頃から始められたのですか?
- 美術大学卒業後、デザイン会社に勤めていましたが、絵を描く魅力が忘れられず、一念発起退職し、アートスクールに入学しました。在籍中、幸いにも美術団体白日会、日展に入選し、学生の身ながら、ありがたくも講師の職に迎えていただいたことがきっかけで、かれこれ20年になります。
- ―― そんなになるのですか。講師になるまでも芸術分野に携わっておられたということですが、いつ頃から興味を持たれていたのでしょうか?
- 幼少期の頃からですね。物心ついたときには、絵を描いていました。
道路、石塀、板壁に蠟石で描く落書き、公園の広場で小枝を拾っての砂絵遊び等、絵を描くことが一番身近なことでしたね。
- ―― 小さい頃、よく描いていたものとかありますか?
- 幼少期は、貸し本漫画「隆盛」の時代で、手塚治虫、水木しげる、赤塚不二夫、藤子不二雄、石森章太郎、横山光輝、白土三平、川崎のぼる、ちばてつや、さいとうたかをなどの漫画を拙いながらノートに一生懸命模写し、友達と公園で描き較べをしたりして、自慢していました。その頃は、芸術とは縁遠く、漫画から受けた影響はとても大きく、私の絵心の核となっています。
- ―― 公園の砂に絵を描くのって、誰もが一度は経験のあることだと思うので、親近感が沸きますね。みんなでお絵かき対決をしたりして、楽しかった記憶があります。
- そうですね。私は今でもたまにやりますよ。(笑)
- ―― 子供の頃から好きな事をお仕事にされていますが、きっかけはなんだったのでしょう?
- 大学受験期に書店でヴィンセント・ヴァン・ゴッホに関する書籍、複製画に接し、大きな衝撃を受けたことがきっかけです。自我を越えた豊かで強烈なゴッホの世界観に心打たれ、このような自己表現、自己実現を生涯貫きたいと強く憧れました。
そして、大学や仕事で芸術の分野に携わる人達に出会い、作品に触れる事で、更に大きな喜びを感じ、それらの体験が励みとなり、本格的な仕事としていきたいと思うようになりました。
仕事を通じて感じる喜びや刺激
- ―― 仕事として始めてみて感じる、絵に携わる仕事の一番のやりがいはありますか?
- 絵は誰もが描けるという意味では難しくはありませんが、自分の思い通りに描くというのはそう容易いことではありません。試行錯誤、抽象と捨象を繰り返して描き出来た作品が、美しく喜ばれ、人に幸せを与えられるのであれば、これ以上のやり甲斐は他にありません。
- ―― やり甲斐を感じると仕事がさらに楽しくなりますよね。実際に相手の方に言われて嬉しかった言葉などはありますか?
- 友人の結婚式の記念品に作った時には「一生の宝物にするね。」とか、飲食店経営の友人のショップをイメージした作品を贈った時も「嬉しくて、涙がでたよ。」と言っていただけた時に、こんなにも人が喜んでくれた事に大きな喜びを感じ、自分の励みとなりました。
- ―― 相手の方だけでなくご自身の励みになる経験はすごく貴重ですね。「自分のためにイメージしてもらった」となると、感動も倍増するでしょうね。
- 他にも展覧会に出品した時には、作品を購入したいと申し出て下さる方がいらっしゃった事なども大きな励みになりましたね。
- ―― 作品についてもそうだと思いますが、「人から喜ばれるものを」という動機の他に、自分なりの仕事に対する思い入れやこだわりがあれば教えてください。
- 絵画はもの作りとして、デザインや工芸などと同一性はあるものの、他分野の仕事にも積極的に興味を持ち、ぶれない一貫性のある歩みにこだわっていきたいと思っています。
- ―― 仕事として確立していく事に対しての「具体的」なビジョンがあれば教えて下さい。
- 私自身の成長と、将来もっと人に幸せを与えられるような作品を作り出すことです。特に独自性を尊重します。物事の生成・現象を異化し、存在の本質をできるだけ単純明快に表象したいと考え、そこにこそ生きる目的、描く意味を求めていきたいと願っています。
- ―― 先生自身の成長とおっしゃいましたが、具体的にはなにか目指しているものなどはあるのでしょうか?
- そうですね。やはりヴィンセント・ヴァン・ゴッホが最後まで求めていた“セレニテ”“悲しみの中の晴れやかさ”でしょうか。そして先程お話ししました独創性へのこだわりから、自分を捨て去り、「天を知る」という境地に至れればと思っています。
- ―― 他の分野に触れる事、又は個々の経験が反映された刺激的な作品を見る事は、自分の(制作においての)刺激になると思いますか?
- とても重要な点ですね。基礎知識や技術は勿論、その分野に携わる人達との出会いが未知の将来を開くと確信しています。
- ―― 他の方の作品や、美術館で鑑賞をする時など、どういったことに注目してご覧になりますか?
- 作品自体の興味もさることながら、やはりその作家や作品が生まれた時代の息吹き、環境の有り様、そしてその時に作家が何を感じ、何を成さんとしたのか、作品誕生の必然性とそのリアリティーに、ことのほか関心が向かいます。
- ―― 人との関わり合いや、出会いを大切にされている先生だからこそ、作品を作る際に大切にしていることや心掛けていることはありますか?
- とてもむずかしいことですが、一生に一度、その場その時に感じ考えたことは、克服できない様々な欲得や他者の意見、時代の要請、人間関係などを一定程度考慮しつつも、できうる限り、自分に正直に、自分で自分を裏切らないよう、努めて自分自身に厳しくあるよう心掛けています。
アートスクールとの出会い
- ―― 数ある教室の中、アートスクールで講師をすることになったきっかけはなんだったのですか?
- アートスクールに生徒として在籍していた時、良き先生、運営者の方、事務員さんに恵まれ、その幸運な出会いの中で、少しずつ学校のお手伝いをしながら、講師職にとお声を掛けて頂きました。
- ―― アートスクールで教える魅力は何だとお考えですか?
- 一番の魅力はさまざまな将来への希望、目的を持ち、日々楽しく真剣に絵を志されている皆さんとの出会いです。ややもすると単眼的なひとりよがりの見方に陥る私の姿勢が、皆さんのフランクで暖かく楽しい交流で、氷が溶けるように、ゆっくりいやされていくのを感じています。
単なる一方通行の授業ではなく、双方向のコミュニケーションを大事にする和やかな教室風景をとても魅力に思います。
- ―― デッサン基礎科で指導されている「デッサン」について教えてください。
- 「デッサン」には様々な定義がありますが、デッサン基礎科でお教えする「デッサン」は、あくまで皆さんが将来さまざまに携わっていきたいと願う専門分野の表現を可能にする為の基礎描写獲得レッスンです。
基礎修練ですから、まず「デッサン」を描くために何をしなければならないかを「知る」ことから始まります。そこを知らずに闇雲に描いても、時間と労力ばかり浪費し、確かな基礎力を身につけることなくただ描く事だけに終始してしまいます。それは、将来の豊かな表現活動をはばむ大きな要因となります。
そこで、デッサン基礎科は、質の高いバリエーション豊かなカリキュラムを通して、初心者、熟練者を問わず、鉛筆の使い方から応用描写まで、人物・風景・静物・動物すべてのジャンルで無理なく高い画力を身につけていただきます。
事実、イラスト・マンガ・絵本・ゲームなど専門分野からの受講生が気軽に受講され、成果を上げられています。
- ―― 逆に生徒さんから学んだことや刺激になったことはありますか?
- そうですね。生徒さんにお教えしている際、知識・経験・スキルを含め自分自身あいまい未消化で自信なさげな内容には、即ストレートに反応され、内心どぎまぎ戸惑う場面があります。生徒さんは本当に一生懸命で、その姿勢・想いにしっかりと答えていくために日々精進・研讃を怠らず、豊かで魅力ある引き出しを沢山ご用意していきたいと思っています。
- ―― 指導する上で、大切にされていることなどはありますか?
- 第一に、生徒さんにとって実益に叶う内容を提示するということです。ただその場限りのきれい上手で気持ちの良い仕上がりではなく、拙いながらも、将来の望みに賭けるしっかりとした描写を発揮した「デッサン」を目指し、楽しく、しっかり学んでいただこうと思っています。又、カウンセリングを重視しています。
生徒さんには機会あるごとによくお声掛けをし、今進めていることが希望に沿わず横道に外れていないか常に軌道修正を図り、生徒さんに満足のいくカリキュラム運用を目指しています。
最後に
- ―― 最後に、今回のインタビューをご覧になっている方に向けてひと言お願いします。
- インタビューをご覧いただき、ありがとうございます。
アートスクール大阪は既存のカルチャー教室とは一線を画した正直で勇敢な魅力満載の教室です。私の経験では、これほど自分のペースで楽しく、しっかり学べる教室に出会ったことはありません。絵画仲間も沢山いらっしゃって安心です。ぜひ一度お気軽に覗いてみて下さい。満足されること受け合いです。
絵は出会いと言われています。ご来校される日を心よりお待ちしております。
- ―― たくさんの質問にお答えいただき、ありがとうございました!
安田先生の魅力、人気の理由がよくわかりました。今後も一層のご活躍をお祈りしています。
安田 正弘 プロフィール
武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒
白日会会員
損保ジャパン美術財団奨励賞受賞
日展入選(洋画)
朝日放送カルチャーコーナーに出演